雨樹一期のトイカメラの教科書 第30回「夏撮り」

こんにちは、雨樹一期です。ジメジメと暑い日が続いていますね。でもまもなく梅雨もあけてカンカン照りの夏真っ盛りに。写真が撮るのが億劫になる季節かもしれませんが、僕は夏の写真って好きです。今回はそんな「夏撮り」のコラムにしたいと思います。

まず、夏はなんといっても空ですよね。雲1つない青空もいいのですが、やっぱり夏といえば入道雲。それがビルの隙間から見えるだけで、サルみたいに高いところを目指してしまいます(笑)。田舎道や海、そこに見える夏雲なんてたまりません。

昨年の夏は家のベランダから見た空がめっちゃええ感じで、勢いで家を飛び出して、原チャで二時間走って、気が付けば観覧車のある海に辿り着いてました。ハイテンションでの撮影後にビールでも飲めたら良かったんだけど原チャですからね。我に返って、なんで僕はこんな所におるんやって、疲れもあって帰り道のテンションはさすがに低かったです。とまぁ、僕にとっては夏雲ってそれくらい魅力的なんですよね。

まずはその日の写真です。帰る頃には日も暮れていました。
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ほんとは空を撮るなら冬の方が湿度も少なくて空気が澄んでいるから、クリアーに写りますが、存在感や臨場感としては夏空がオススメです。

ただ空のみを撮るも良し、手前に別の被写体を置くも良し。青空と雲はリバーサル現像やクロスプロセスとの相性もいいし、被写体をシルエットとして写すとドラマチックにもなります。空との多重露光もいい感じです。

まずは現像別に分けて空の写真を。

◆ネガ現像
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◆リバーサル現像
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◆クロスプロセス現像
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ネガで撮ると軟らかく滑らかに、リバーサルだと堅く、彩度とコントラストも強くなります。以下の写真は同じ場所、同じ時間に撮ったもの。実際の色味的にはこの中間ぐらいです。リバーサル現像の方がドラマチックな写真になりますね。フィルムは赤みが強調されるVelvia100を使用。
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次は夏らしい自然。といえば海ですねーと、いきたいとこですが実はあまり撮ってなく。泳ぐわけでもないのに砂浜で写真撮ってたら即通報な時代ですからね。ピチピチのお尻プリプリギャルを撮りに来た変態おやじ扱いされます。

もちろん、海以外にも夏を感じるアイテムはたくさんあります。スイカ・風鈴・花火・お祭り・扇風機・蚊取り線香などなど。小さなアイテムにこだわって撮るのもいいと思います。ちなみに僕は小物を活かした撮影が苦手で、夏の田舎を広く捉えた風景写真が多いです。自分の感じる夏を探して撮影していきましょう。
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次に夏の花。ぱっと思いつくのは向日葵ですよね。満開の向日葵は夏のハイテンションを、枯れた向日葵や夕暮れ時は切なさを表現してくれます。

向日葵は青空によく映えるから、クロスプロセスすることでギラギラ感を出すのもいいですね。PROVIA400Xのクロスプロセスはどこか懐かしく幼き頃の夏休みたいに。人やミツバチを入れるのもオススメです。
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次に蓮の花ですね。仏の花とも言われています。泥の中で育つのに、地上に出ると鮮やかでキレイな花を咲かせるという、なんだか僕らも学ぶべき部分がありそうな花。努力や苦労の先に夢があるように。今が苦しくても、きっと未来は輝いてるんだって言ってるかのような。とにかく神秘的な花なんですよね。

ちなみに、花びらは早朝に咲き昼には閉じてしまうので、早朝からおじさんがワラワラと出没します。向日葵と違ってクロスプロセスとの相性はいまいち。花びらのピンク色を鮮やかに出したいので、リバーサル現像もオススメです。

 

◆ネガ現像
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◆リバーサル現像
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ちなみに夏空との多重露光も面白いです。タイムスリップしたかのような、ちょっとホラーな写真に。
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最後に試してみて欲しいフィルムが、ロモグラフィーの「LomoChrome Purple XR100-400」です。緑が紫色に染まる不思議なフィルムなのですが、青空を撮ると水色に。コントラストが強いので、シルエット撮影でドラマッチックにもなります。
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僕はかつて現像所に勤めていたのですが、梅雨と同様で真夏も現像総数ってやや少なかったです。担当していたのがリバーサル現像のみだったので、どちらかというとおじさんカメラマンが出す現像所ですね。真夏のおじさんは、まだ涼しい早朝に蓮を撮って、帰ったら家で転がって嫁さんに掃除機で吸い込まれているか、エアコン聞いた喫茶店で「おねーちゃん、レーコー(アイス珈琲を関西のおじさんはそう言います)頂戴!」って言ってるかどっちかです。
でも、ここのコラムを見てくれている方はきっとまだまだ若いはず。だから気合い入れて夏も外に飛び出しましょう。元気な写真がとれるのは夏が一番です。ただ、くれぐれも熱中症だけには気を付けて。水分補給を絶対忘れないで下さいね。また、車で移動してる方は、車内にフィルムを一日中ほっておくと一気に劣化して、色味が変わっちゃうかもしれませんのでご注意を。


最後の私事コーナーです。まずは7月7日発売の週刊プレイボーイにて、「初めてのトイカメラ」と題しまして8種類のカメラの紹介記事が掲載されます。鈴木ちなみさんをモデルにそれぞれのカメラで撮影致しました。いやー、めっちゃ可愛かったです。ここにはその写真を掲載出来ないので、ぜひ誌面で。

次に展覧会の情報です。
8月6日~8月12日、大阪の阪急百貨店うめだ本店にて展示販売を致します。これは、10階のうめだスーク中央街区にて開催される夏のアートイベントです。
絵描きのmomo ironeさんと、Kiyocさんとのコラボ展です。百貨店では初の展示、気合い入れております。限定でオリジナル雑貨の販売なども致しますので、お近くの方はぜひお立ち寄り下さい。
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「3人の絵日記」
夏休みに家族で行った遊園地。親の手を引っ張って夢中で遊んだ。

振り返ると懐かしくて、少し切なくて。でもきっと、それも一つの幸せの形。

たくさんの方と気持ちを共有できたらうれしいです。

 

出展者 / 雨樹一期・ kiyoc ・ momo irone

 

ボダイジュエキスポ枠から3人の作家が参加します!

作品に加え、オリジナルグッズも豊富にご用意致しますのでお楽しみに!

 

★8月9日は13時からはコラボライブペイント!

雨樹一期の写真の上に、kiyoc、momo ironeがライブペイントします。

鑑賞無料ですので、是非お越し下さい!

【詳細】
期間:8月6日~8月12日
場所:阪急百貨店うめだ本店10階うめだスーク中央街区


■ プロ・トイカメラマン雨樹一期オフィシャルサイト
http://www.amaki15.com/

■ トイカメラ日和
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雨樹 一期(あまき いちご)
1977年生まれ。大阪出身のプロ・トイカメラマン。観覧車写真家。トイカメラならではの色彩と、淡く鮮明な表現を自在に操り、写真を通してどこか懐かしくポエティックな視覚世界を表現する写真作家。東京ドーム『SPA LaQua』にて環境映像作品「心の観覧車」の上映。WEBや雑誌にてトイカメラコラムの連載。携帯のきせかえツール、スマートフォンのきせかえカレンダーへのコンテンツ提供。電子書籍の出版。東京、大阪、パリで写真展の開催。トイカメラ講師など、幅広い活動を展開中。書籍に「しあわせの観覧車」「一期一会」など。

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