雨樹一期のトイカメラの教科書 第9回 「フィルム選び続編」
こんにちは、雨樹です。今回はフィルム選び続編です。変わったネガフィルムやリバーサルフィルムでまとめました。前回よりもその違いが分かりやすいかなと思います。
さて、早速いきましょう。まずはイタリアのFerrania社製フィルム「EURO PRINT」。ソラリスと同じ会社ですね。はじめて販売された数年前はかなり限定な感じだったのに、今もチラホラ見かけます。フィルムの出来はかなりいけてません(笑)。感度は100と200と400があるんですが、どれもザラザラ感がかなり強いし、色味もまともではないです。グラデーションも悪くって、暗い部分はただただ暗い。つまり露光の許容範囲が狭いんですよね。失敗を補ってくれないというんでしょうか。NATURA1600やポートラの優秀さと比べたら、雲泥の差。
ところがどっこいですよ。なんかね、いい色というかノスタルジー具合がとてもいいんです。黄色が強く、青がいい発色をしてくれます。ダメがゆえに台無しな写真が出るかもしれないけど、絶妙に味のある写真がうまれる可能性もあるんですよね。今回フィルムのコラムを書く事で、あらためてフィルム別の発色などを自分なりに調べてみたんですが、ある意味ではEURO PRINTが一番トイカメラ向きなフィルムかもなーって思いました。紫陽花の写真や展望台から撮った空の写真なんかとても気に入ってますから。
次は海外限定のFUJIのフィルム、「PRO400H」です。逆輸入品として日本でも売ってます(笑)。値段はちょっと高いですね。普通に日本で販売してくれたらもっと安くなるんだろうけど。
160Cや800Zもあるのですが、色味はどれも近く、かなり低彩度です。そこに薄っすらと青みが乗っかってきます。青空を撮ると水色系に、緑を撮ると黄緑色になる感じです。柔らかく優しい雰囲気が表現できますね。なのでアンダー(暗く)で撮るよりも、オーバー(明るく)で撮ると◎。青味を強くプリントしてもらうとパステルな感じになって面白いです。僕はよくNATURA CLASSICAにいれて、プラス2補正をして明るめに撮っています。
ちなみに同じ場所での「EUROPRINTO」との撮り比べ。左はLC−Aで撮って、右はNATURA CLASSICAで撮っていますが・・・違い過ぎますね。ちなみにEURO PRINTには古い建物などの背景が合うし、PRO400Hには緑が合いますねー。そんなことも考えながら撮るのもフィルム選びの面白さです。
次はロモグラフィーのレッドスケールフィルムです。これはフィルムの裏表が逆に装填されたフィルムです。フィルムにはベース面と乳剤面というのがあって、どちら側に光をあてるかというのも決まってます(通常は乳剤面に感光させる)。それを逆にしちゃうんですね。もちろんちゃんとした色は得られず、フィルムの層の関係で赤が強く反応しちゃうんですね。でもこれが面白い。「Redscale100」というフィルムと「Redscale XR 50-200」があって、後者のフィルムでは、オーバーに撮るほど赤みが弱くなりシアンが顔を出します。アンダーに撮ると真っ赤になるので、僕は少しオーバー気味に撮ります。LC-Aだと感度設定は25からはじまるので25や50に合わせています。LC-A+だと100からしかないので、あまり明るく撮れないです。なので、露光窓を指で少し隠しながら撮るといいですね。
ネガ編は以上です。次はリバーサル現像。僕は決まったフィルムしか使わないので、全フィルムの違いを紹介は出来ないのですが、特徴の分かりやすいものをいくつか。
リバーサルの基本的な特徴はとにかく鮮やかということ。ネガにも鮮やかなフィルムはありますが、そんなもんじゃないくらい鮮やかです。描写はシャープなので硬い印象をもつかもしれません。
欠点は、露出が少し狂うだけで、正常な色味が得られないこと。なので、どちらかと言うと中級者向きフィルムです。マニュアルだと少し難しいですが、NATURA CLASSICAやLC-Aなんかだと露出はオートなので、そんなに難しくはないですね。
さて。まずはリバーサルフィルムとはこれ!というくらいに、定番のフィルム「Velvia100」です。いまリバーサルフィルムはどんどん生産中止が進んでますが、おそらくこれか「Velvia100F」が最後まで残るかなと。特徴は赤が強く出ること。なので僕はよく夕焼け撮る時に使います。とてもシャープです。チワワの写真はLC-Aで撮ったんですが、一眼で撮ったみたいにクッキリです。
次に同じく富士の「PROVIA100F」。ザ・オールマイティといっていいほど、使い勝手はいいです。場面を選ばず使えますね。Velviaよりも若干柔らかいです。
もう生産はされていませんが、コダックからも一つ。「エクタクローム E100VS」です。これはもうとにかく、ザ・鮮やか。青空も花も夕暮れもドラマティックに演出してくれます。現像されたフィルムをライトボックスの上で見るとワクワクします。
他にもリバーサルフィルムはたくさんあります。富士フィルムのアスティアは人物撮影に適しているし、PROVIA400Xは万能です。でももっと違いの分かりやすいフィルムを。
それはロモグラフィーのX-PRO200です。これはクロスプロセス用として売り出されてますね。でも僕はリバーサル現像するのが好き。他のどのフィルムでも出せない発色をします。
リバーサル=鮮やかと言いましたが、これは少し違います。黄色が強く発色するというのかな。それがまた優しいレトロ色。このフィルムも明るめに撮ると◎。ちなみにフィルムの前半は最初から光りカブリを起こしています。これはまたこれでいい感じですね。
最後は「T-64」です。タングステンフィルムってやつですね。コダックも富士も生産はしてないのですが、ロモグラフィーでは販売しています。これもいつまでか分からないので、早めに手にいれておきたいですね。
簡単に説明すると、このフィルムは商品撮影用です。白熱電球などタングステン光源下で撮影すると出てしまう赤味を軽減する為に、赤の感度を抑えて作られたフィルムです。
これを外で撮ると、なんとも幻想的な青カブリの発色をしてくれます。パステルカラーというのかな。真っ青になるというわけではなく、赤もちゃんと色が付いてくれます。リバーサルフィルムにしては軟調なので、ボケボケ写真でもなんかええ感じ。これもまた明るめに撮るのをオススメしたいですねー。感度が64になるので、LC-Aなんかだと、25に合わせて。個人的にはトイカメラよりも一眼でしっかり撮る方が好きですね。
最後に私事ですが、東京ドームSPA LaQua(スパラクーア)5階、ヴィーナスラウンジ内にて環境映像作品「心の観覧車」のスライドショーを上映しています。
昨年から継続しているのですが、写真を全部入れ替えリニューアル致しました。「心の観覧車~夢編」。6月中にはスタートすると思います。ラクーアに訪れた際にはぜひ一度ご覧下さい。また、ポストカードの販売コーナーも展開されています。詳細についてはブログにて。ぜひぜひ♪
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