雨樹一期のトイカメラの教科書 第13回 「クロスプロセスのフィルム別の発色」


 こんにちは、雨樹です。今回はクロスプロセスのフィルム別の発色コラムです。失敗例もおりまぜながら解説しています。イロトリドリっていうんでしょうか。なかなか面白いコラムになりました。メカニズムについては前回を参照して下さいね。
 リバーサルフィルムはどんどん生産終了してしまい、クロス大好きな僕としてはさみしい限りです。しかも発色のいいコダックがリバーサルはもう作ってませんからね。とはいえ、まだ頑張れば手に入ります(笑)。僕はお店で見つけたらとりあえず購入します。オークションなどで探したりしています。コダックはそれくらい惜しいフィルムです。ではでは、さっそくいきましょう。


■ まだ販売されているフィルム

◎ FUJI PROVIA100F(プロビア)
 昔は一番よく使っていたフィルム。色は緑系にころびます。もう販売はされてませんが、TREBI100Cもほぼ同じ発色でした。緑が強く出る時が大半で、実は失敗も多々。だけど青空を撮るとなんともいえない絶妙なブルーに、、、なる時もあります(笑)。赤の発色がいいので、薔薇との相性はいいですね。観覧車のゴンドラの赤もよく映えています。


 赤は映えるのに、夕暮れはNG。逆光や夜や室内。色のないものを撮ると、ベットリと緑がのってくるのでオススメ出来ません。

 

◎ FUJI Velvia100,Velvia100F(ベルビア)
 市販されてるリバーサルフィルムの中ではメジャーどころ。なのでまずこれを購入してクロスプロセスに挑む方も多いです。そして失敗します(笑)。失敗というよりはイメージと違っていてが愕然とします。とにかく色は赤です。こうやって見るとオレンジも見えますが。ロモグラフィーのレッドスケールフィルムに似てますね。
 とにかく、赤ということを知ってやるならいいのですが、知らずにやるとガッカリしちゃうので注意を。僕は二度ほどトライしてそれ以来手を出していません。


同じく販売こそされていないですが、よく似た傾向のフィルムもご紹介。

 ◎ FUJI ASTIA100F(アスティア)

赤〜ピンク系に

 ◎ FUJI fortiaSP(フォルティア)


同じく赤〜ピンク系に。アスティアよりもピンク寄りかな?

 ◎ FUJI Sensia Ⅲ(センシア)
 

 


◎ FUJI Velvia50
 ベルビアシリーズで唯一いい発色をしてくれます。色の傾向はPROVIA100Fに近いですが、そこまで緑も強くなく、もっと重厚な感じ。油絵みたいに色が乗ってきますね。低感度なフィルムなので手振れに注意を。



◎ FUJI PROVIA400X
 僕の一番好きなフィルムがこれ。富士のフィルムの中では他とは全く違う発色。赤や黄色が強く出ます。現実的レトロというのかな。郷愁というか、哀愁感が漂うというか。とにかくトイカメラにとっても合うんですよね。
高感度フィルムなので使い勝手もいいです。室内や夕暮れも極端に色が崩れることもないです。個人的には桜との相性が抜群だと思います。とにかく僕の描きたい世界観にとても合っているので、常にストックを置いています。でもちょっと高価。失敗は少ないですね。





◎ Lomography X-Pro Chrome 100
 ロモグラフィーから販売されている、クロスプロセス専用のフィルム。専用というだけあってとてもいい発色をします。青がやや強めなので、青空がよく映えます。今も販売されてるリバーサルフィルムの中では失敗も少なく、一番無難かもしれませんね。夕方や夜もいい色が出ます。






 ただ、コントラストが強くなるので、LC-Aなんかで撮ると中心付近の色が飛んでしまうこともあります。下の写真は虹を撮っているのに見えなくなっちゃてます。


◎ Lomography X-Pro Chrome200
X-PRO100と同じくクロスプロセス専用のフィルム。こちらは感度が200。発色は全く違い、PROVIA400Xと同じ傾向に色がころびます。こちらの方が黄色が強いかな。緑や青が強く出ることもあります。クロスではなくリバーサル現像もオススメ。なんやかんやで、失敗の少ない無難なフィルム。ただ、鮮やかさを求めるなら100を使いましょう。フィルムの一枚目〜二枚目はオレンジの色かぶりや光漏れがあります。ブローニもあるのでホルガに使うのもいいですね。







◎ Rollei Digibase CR 200PRO
X-PRO200と同じ「AGFA RSXII 200」ベースで作られているフィルム。発色も同じ。雪を撮るとなぜか黄色が息を沈めて意外といい感じに。




◎ Rollei CrossBird
 同じく感度200のフィルム。クロスプロセス専用のフィルムだけど、富士のPROVIA100Fと同じく、緑系統に色が転びます。一枚目の光漏れ部分は色が変になって好きですが、全体的に見るとRolleiのフィルムだったら上のDigibaseの方が好きですね。



◎ AGFA CT Precisa100
 EU製から日本製になり色味も変わった気も。今は富士が製作だとか。真偽はどうあれ発色は富士らしい青緑系に。ちなみに僕の撮ってきた写真もどこからが日本製なのか定かではないです。いい感じに青も顔を出しますね。





◎ Lomography X Tungsten 64
 ロモグラフィーから販売されているタングステンフィルム。何度かやりましたが、ことごとく玉砕(笑)。紫に赤に黄色に青に、どー転ぶのか分からない予測不能なフィルムです。まれに他の色も潰れずに全体的に少し赤みがかるナイスな発色もするようですが、僕はいまだにありません(笑)。感度設定も変えながら撮ったんですけどね。個人的には、第9回のコラムに書いたように、少し明るめに撮ってリバーサル現像する方がいいですね。


◎ Lomography Color X-Pro Sunset Strip 100
 さてさて、ロモグラフィーから発売されたばかり、出来立てほやほやのクロスプロセス専用のフィルム。フィルムの中央にあらかじめ着色されているという画期的なフィルムです。色の傾向は、黄色や緑や青ですね。撮影の一枚目と二枚目くらいまではX-PRO200と同じような色かぶりや光漏れがあります。全体的に派手さはなくノスタルジーな感じ。そういった部分もX-PRO200に近いですね。快晴な青空でも撮るともうちょっと鮮やかになりそうです。
パーフォレーション部分への着色がない為に、スプロケットロケットで撮影すると撮影領域とパーフォレーション部分で発色が変わります。






■ 生産が中止されたフィルム

◎ Kodak Ektachrome  E100VS
 はじめにも書きましたがコダックはもうリバーサルフィルムを作っていません。でも、まだ手に入れることは可能です。店頭でも見かけますし、オークションでも売られています。

コダックフィルムのクロスプロセスは基本的に色彩はかなり鮮やかに。コントラストがかなり強くなるので、LC-AやWideだと中心の色がとんでしまう可能性も。少し暗く撮る方がいいかもしれません。フィルムの感度が100なので、200に設定での撮影も試してみて。ちなみに普通にリバーサル現像してもめっちゃ鮮やかな色になるので、ほんとに生産終了が惜しまれます。



 下はコントラストが強くて中心がとんでしまった写真。フィルム一本こんな状態になることもしばしば。僕は「ローコントラスト」というレンズフィルターを使うこともあります。コントラストを弱めるものなんですが、派手にしたくってクロスプロセスしてるのに、それを弱めているというなんともお粗末な感じです。


◎ Kodak ELITE CHROME ExtraColor 100  (EBX) 
 こちらもE100VSと同じく感度設定を200にしましょう。僕は100の設定で玉砕したこたが多々。みんなが思うクロスプロセスってこのフィルムみたいな鮮やかさだと思うんですよね。とにかくド派手です。ただ明暗さが激しいので、写真展で展示すると暗いイメージにもなっちゃいます。




■ もうほぼ見かけないフィルム

 ◎ PROVIA400F
 我が家にはブローニのストックがたくさんあります。発色は緑系がベースになりますが、プロビアなど他の緑系の発色に比べるとやんわり緑。夜の写真が意外にもキレイに。





◎ FUJI T-64
 ザ・富士というのか、緑ですね。違う色になったこともあります。ロットに寄ってバラツキがあるのか、途中で何かが変わったのか。天気のせいなのか。とにかく、タングステンのクロスだけはどんな色味になるのかよめないです。失敗して全滅のパターンがおとろしくってもうやる気がしないです(笑)。


◎ Kodak Ektachrome 64T (EPY)
 コダックのタングステンフィルムです。一度しか試してませんが。全部が青になりました。Vivitar Ultra Wide&Slimで撮影。

◎ Kodak Ektachrome  EPL
 全体的な色彩の向上。そこに赤を乗せたような感じです。夕暮れを撮っても、なかなかキレイに。感度400なので質感はザラザラです。生産終了がかなり以前で期限も切れてしまっている為、最後の二枚のようにまともな色が出る保障はありません。



◎ Kodak Ektachrome 100 PLUS (EPP)
 元祖クロスプロセス用フィルムといってもいいかなと。鮮やかさと絶妙なコントラスト、最強でした。とにかく何を撮ってもオッケー、青空も夕暮れもたまんない色彩になりました。




 僕がこれまで撮ってきた写真で、本当のお気に入りってほんの数枚。それが全部コダックのリバーサルでクロスしたものだと気付きました。ちなみに、ほどよくお気に入りがたくさんあるのが富士のPROVIA400Xです。
 クロスプロセス全体的に言えることは、やっぱり昼間の青空の下での撮影がオススメです。逆光で撮るよりも順光で、空の青が強い部分を入れて撮るといい発色します。夕暮れって見た目にはキレイですが、クロスしちゃうといまいちな発色が多いんですよね。コダックは割といい色になりますが。また、室内での撮影なんかも同様で色は潰れがちです。
  以下はKodak Ektachrome  EPLでクロスプロセス現像したもの。色も壊れてまともな発色してくれませんでした。湿気で水に濡れたのかフィルムの膜も剥がれています。でもそれがまるで星みたいに。スキャンされたデータは青が強かったので、明るさを大きくあげて水色にしています。ダメだと思った写真も補正してあげると化けるかもしれません。


  色が潰れてしまった時も諦めないで単純にモノクロに変換するのもいいと思います。クロスプロセスすることでコントラストがあがっているので、メリハリの効いたモノクロ写真が出来ます。いい感じでしょ。そういう表現方法も悪くないなって思っちゃいます。


  後からの加工は邪道かもしれないですが、クロスプロセスそのものが邪道ですから(笑)。もちろん理想は補正の全くいらない写真ですけどね。まずは気軽にいきましょう。

  さて、最後にいいわけもしておきます(笑)。今回のコラムはあくまで基本的な色の傾向です。全然違う色になることもあるかと思います。色々と自分なりに研究してきましたが、なんだかんだでクロスプロセスは博打要素が高いです。でもそれをね、楽しんで下さい。


 さて、いよいよです。デザインフェスタギャラリーWESTにて開催「ARTALK3」に参加します。トイラボ×nocos×雨樹一期ブースにて雨樹一期個展開催。日程は9/29〜30日です。当日は僕も会場にいるのでぜひ会いにきて下さいね。素敵な来場者プレゼントもありますよー。
■ ARTALK3
http://artalk.jp/

 NEW OSAKA HOTEL心斎橋さんを丸ごと借り切って開催される、日本初のイベント「ボダイジュエキスポ」に参加します。開催は11/24〜25日。写真での参加は少なめですが、絵画やイラスト、クラフトや立体作品、とにかく前線で活躍されている「人を呼べるアーティストさん」が100組参加されます。かなり凄いイベントになりそうです。
■ BODAIJU EXPO|ボダイジュエキスポ2012
http://expo.bodaiju-cafe.com/


詳細についてはオフィシャルサイトやブログにて。
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雨樹 一期(あまき いちご)
1977年生まれ。大阪出身のプロ・トイカメラマン。観覧車写真家。トイカメラならではの色彩と、淡く鮮明な表現を自在に操り、写真を通してどこか懐かしくポエティックな視覚世界を表現する写真作家。東京ドーム『SPA LaQua』にて環境映像作品「心の観覧車」の上映。WEBや雑誌にてトイカメラコラムの連載。携帯のきせかえツール、スマートフォンのきせかえカレンダーへのコンテンツ提供。電子書籍の出版。東京、大阪、パリで写真展の開催。トイカメラ講師など、幅広い活動を展開中。書籍に「しあわせの観覧車」「一期一会」など。

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