雨樹一期のトイカメラの教科書 第4回 「フィルムの感度とは?」


前回のフィルムの基本に引き続き、次は感度についての説明を。そして露出についても少し。 僕がはじめて買ったフィルムカメラはLC-Aなんですが、フィルムなんてどれを買えばいいか分からなかったし、『感度』なんてもんは意味不明でした。当時はカメラ屋の前に安売りのフィルムがワゴン販売されていたので、安いという理由だけでそれを何度か使っていました。でもいま思うと安いのはやっぱりいまいちでしたね。高いフィルムってやっぱり色んな部分が優れています。何だかんだで「ええもんはええ」ってことです(笑)。

さて、「どのフィルムを買えばいいのか分からない」
それがやっぱりフィルムカメラをはじめるに当たって、はじめにぶち当たる壁でもあります。それにはまず第3回のコラムでお話したフィルムの基本をおさえることと、『感度』を知ってもらうことだと僕は思います。今回はそんなコラムです。
その前にまずは『露出』から。露出というのは簡単に言うとフィルムに光を当てることです。めっちゃ簡単ですねー。で、どれだけ光を当てたかで写真の明暗が変わってきます。ちょうどいい光の量のことを、適正露出といいます。 全く同じ場所で撮影しても、明るい写真はふんわりと優しく、暗い写真は濃厚で重圧感があります。それぞれ好みが分かれるかと思いますが、適正が標準になります。


そして感度ですね。これは光に対する能力のことで、ISO(イソ)と表記されています。昔はASAやDINと表記されてました。今は共通でISOと呼びます。数字が大きいほどその能力も高くなります。つまり暗いものまで写るということです。とはいえ光に対する能力が高いからといって、性能がいいフィルムということでもありません。順を追って説明して行きますね。

 デジカメでも感度設定は出来ますが多くの方はそこは触らず、オートで撮るか、シーンを選んで撮るかですからね。なかなか覚えれない。でもそこで覚えておけば、フィルムにも移行がスムーズです。やっぱり写真が好きならフィルムでも撮って欲しいのが本心です。なにより感度はフィルム・デジタルに関わらず知っておくべき知識だなって思います。

何度も書きますが写真を撮るのに必要なのは光です。光がフィルムに当たり化学反応して像を描きます。もちろんデジカメだって光が必要です。写真にとっての光とは、絵描きにとっての筆や絵の具みたいなものです。

 そして「どれだけの光が必要か?」それを決めるのがフィルムの感度になってくるのです。

 今販売されている一般的な35mmのネガフィルムは、ISO100〜1600の間になります(ブローニフィルムだと800まで)。リバーサルフィルムだとISO50〜400です。50,100,200,400,800,1600と倍々になっていきます(ネガにはISO160、リバーサルフィルムにはISO64もあります)。

 ISO100未満を低感度フィルム。ISO400以上になると高感度フィルムと呼ばれています。ちょっとこの説明だとややこしいですね。以下の写真のようにフィルムの箱に数字が書かれているので、そこを見て頂ければ分かるかなと思います。

この数字が少ないほど、撮影時に光がたくさん必要になってきます。ここからさらに話を膨らますと、シャッタースピードや絞りが出てきます。シャッタースピードとはそのままですね。どれだけの時間シャッター窓を開いて光を取り込むか。絞りというのはその光を取り込む時の穴の大きさです。レンズによって8段階以上の微調整が可能です。

当然、穴が大きいと光を取り込む時間が短くて済みます。とまぁ、ここから算出して適正露出を決めるわけですが、その話はまたいつか。


まずは感度を知って頂きたいなと。そもそもトイカメラは、絞りやシャッタースピードをあまり変えることが出来ないので光の調整が苦手です(以下の写真はSPROCKET ROCET)シャッタースピードの「N」とは固定のシャッタースピードです。「B」とはバルブモードのことで、シャッターを押してる間はずっとシャッター窓が開きます。絞りは「晴れマーク」と「曇りマーク」のたった2種類。ほとんど何も変えれません。なのでトイカメラでの撮影は意外にも感度が重要になってきます。


簡単に説明していきます。感度1600のフィルムは光が少なくても撮影が出来ます。なので、室内や夜景も撮影が可能ということになりますね。

「では感度100だと無理なのか?」となりますよね。こちらももちろん可能なんです。ただ光をたくさん必要とするので、それを取り込む為シャッターを長く開く必要があり、手持ち撮影だとブレてしまうんです。三脚を使うか、机や地べたに置いて撮影しなくちゃいけなくなるんですよね。その撮影方法も動かないものなら可能ですが、上の写真のように動いている被写体だとやっぱり高感度フィルムが必要になってきます。

以下の写真はISO400のフィルムを使って、Bモードで撮影。いずれも10秒以上シャッターを押しっぱなしにしています。


「だったら、ISO1600を使ってりゃええやないの!?」となりますよね。これがそうはいきません。昼間に外で撮影すると、今度は逆に必要以上の光を取り込んでしまいます。やっぱり何事も適正がいいんです。なのでシーンに合わせた感度選びが必要となってくるんですね。

さらにISO1600など高感度のフィルムになるほど粒子が粗くなってきます。Lサイズ程度なら大丈夫ですが、大きく引き伸ばすと写真のザラつきが目立ちます。また、低感度フィルムの方が鮮やかな発色をするものが多いです。なので作品として考えた場合には低感度のフィルムの方がいいんですね。あとは価格も少し変わってきます。

以下にまとめたものを参照にして下さい。かなり大げさに言ってますが。

「で、結局どれがいいの? 」ってなりますよね(笑)。僕は日中に外で撮ることが多いのと、作品として引き伸ばすことが多いので、ISO100が一番多いのですが。

たとえば、晴れた日に外で花を撮るなら、ISO100でいいと思います。

ポートレートも含めて色んなシーンで撮りたい方や曇りの時は、ISO400が無難になってきます。

夜景を撮りたい、動物や子供など動くものを撮りたい、室内で撮りたいという方はISO1600がいいと思います。

ということで、結局はどんな場所で何を撮りたいかが大切です。上記に示したものはあくまでオススメってことなので、それに限ったことではありません。僕は夜景もISO100を使いますので。色々試しながら自分の好みの感度やフィルムを見つけていくのも楽しいですよ。


最後に私事ですが、先日オフィシャルサイトのリニューアルを致しました。これまでは見た目を重視したサイトだったのですが、なんだか結構見にくいし、実はそんなに格好良くもないし、更新もさぼりがちだったので(笑)、シンプルに見やすいサイトに致しました。カメラごとのサンプルも掲載しているのでお時間のある時にぜひぜひです。

■ プロ・トイカメラマン雨樹一期オフィシャルサイト
http://www.amaki15.com/

■ トイカメラ日和
http://amaki15.blog90.fc2.com/

雨樹 一期(あまき いちご)
1977年生まれ。大阪出身のプロ・トイカメラマン。観覧車写真家。トイカメラならではの色彩と、淡く鮮明な表現を自在に操り、写真を通してどこか懐かしくポエティックな視覚世界を表現する写真作家。東京ドーム『SPA LaQua』にて環境映像作品「心の観覧車」の上映。WEBや雑誌にてトイカメラコラムの連載。携帯のきせかえツール、スマートフォンのきせかえカレンダーへのコンテンツ提供。電子書籍の出版。東京、大阪、パリで写真展の開催。トイカメラ講師など、幅広い活動を展開中。書籍に「しあわせの観覧車」「一期一会」など。

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