雨樹一期のトイカメラの教科書 第14回 Lomography Color X-Pro Sunset Strip 100

こんにちは雨樹一期です。まずは先月開催されたイベント、「ARTALK3」にお越し下さった皆さん、ありがとうございました。台風の影響で閉館が早くなってしまい申し訳ありません。僕も大阪に帰る新幹線が運休になってしまったりと、モロに影響をうけてしまいました。それでもイベントはたくさんの方に来て頂き、とても満足のいくものとなりました。ありがとうございます。

あれからひと月、なんだかすっかり肌寒くなってしまいましたね。とはいえ日中はまだまだ過ごしやすいので、秋の写真も撮って行きましょう。

さて、前回のクロスプロセスのフィルム別の発色コラムでも触れましたが、ロモグラフィーから新しく発売されたクロスプロセス専用の35mmフィルム「Lomography Color X-Pro Sunset Strip 100」について、もう少し詳しく書かせて頂きます。

これは中央にあらかじめ着色されているフィルム。この発想が面白い。邪道だろうがなんだろうが、今のデジタルな時代にフィルムを発売してくれることが何とも嬉しいですね。手始めにクロスプロセス現像してみたところ、同じくロモグラフィーから発売されている、「X-Pro Slide 200」に似ているなぁーという印象。ただこうやって並べてみるとそれとはまた違いますね。

全体的に「X-Pro Chrome 100」のような派手さはあまりなく、ほんのりレトロ調。黄色や緑、爽やかな青になることもあります。せっかくなので撮った写真を多めに載せていきます。僕もお試し段階なのでいい写真は少なめですが、やっぱり晴れた日に青空を入れると発色もいいですね。

■ 外(曇り時々晴れ)





■ 外(晴天)





■ 夜



■ 室内


 また、このフィルム。着色されているのが一般的なカメラでの撮影部分のみなので、スプロケットロケットみたいにパーフォレーションまで写るカメラだと、その部分は色味が変わります。

 スプロケットロケットに感度100のフィルムだと少しアンダーになりがちなんですが、割と適正で撮れていました。着色されいてる部分は明るくなっているのかな。パーフォレーション部分の方が色は暗いですしね。その効果で、蝶々の写真はなんだかちょっと引き締まって見えます。







クロスプロセス専用とはいえリバーサルフィルム。もちろんリバーサル現像も可能です。早速そちらもやってみましたよ。これもまたX-PRO200に似ているなーという印象。僕はX-PRO200のリバーサル現像は好きなので、同じく好きな色味ではありました。

ただ、リバーサル現像だと着色されている感じはあまり分からなかったです。このフィルムはクロスの方が面白いですね。
明るめの方がいいかなーと思い、カメラの感度設定を途中で50に設定して撮ってみました。

■ ISO100に設定



■ ISO50に設定


あと、フィルムどうこうはさておき。尾道で撮ったネコの足跡写真。コンクリートが固まる前に通っちゃったんですねー。かわゆいわぁ。いや、ただそれだけなんですけどね。同じように並べてたら見過ごされちゃうかなと思いまして(笑)。


また、フィルムの一枚目は光かぶりをします。僕はこれが好きで、全部こんな感じになってくれても良かったりします(笑)。光で全部色が飛んで真っ白になっちゃうんじゃなくって、めっちゃ絶妙のカブリ具合なんですよね。

 


さて、いいところはコントラストの弱さですね。クロスプロセスという意味では逆に物足りないのかな。ただクロスプロセスって中心付近の色がとんでしまいがちだけど、そうはならない。そしてネガとも違う発色をしてくれる。リバーサルみたいな硬さや鮮やかさもない。クロスプロセスしてもリバーサル現像してもどこにも属さないようなフィルム。まれにハレーション(光の強い部分が白くぼやける現象)起きてるのが気になるところですが、僕はこれも結構好きです(笑)。

欲を言えば、どうせなら着色をもっと濃く、細かくして欲しかったかなーと。たとえば一枚の写真の中に5,6色くらい段違いになるような。そういった明らかに分かるような着色とかも面白そうですよね。

とはいえ、これまでにない発想のフィルムなので一度試してみてはいかがでしょう。価格も三本セットの購入になりますが、一本だと700円しない程度なので、リバーサルフィルムにしては安めです。ロモグラフィーのサイト内の説明では、暗い場所での撮影をオススメしていますが、僕はまずは晴天の中で撮るのがいいかなと思います。


さて、何度も告知していますが、11月24日と25日にボダイジュエキスポ開催です。NEW OSAKA HOTEL心斎橋さんを貸し切って、100部屋を100人のアーティストがプロデュース。誰でも一度は目にしたことがあるような、名立たる作家たちが集結するという、僕のこれまでの作家活動では一番のビックイベントかもしれません。僕の部屋は写真に一言詩を添えた展示を致します。タイトルは「明日撮る写真が一番素晴らしい」。ピカソの言葉の引用で、これまでの作品を否定しているわけではなく、常に向上心を持っていようという意味です。部屋のお風呂には猫写真でも展示しようかなと思ってます。来年のカレンダーも販売致します。アート好きなら確実にお腹いっぱい満足して頂けると思います。ぜひぜひぜひ♪

◆ 公式サイト http://expo.bodaiju-cafe.com/

またボダイジュカフェでは、12月10日~23日の期間、僕が赤子のような作家の頃からずっとお世話になっているtogomamaカフェプロデュースで、絵描きの中川貴雄さんとのコラボ展を行います。タイトルは「オリエンタル雨の川」。テーマがどうこうではなく、言葉の持つ雰囲気で決めました(笑)。
僕の写真をキャンバスに印刷して、その上から中川さんに絵を描いてもらったり、中川さんの描いた絵を写真に撮って、その上から僕が写真を撮り重ねたりと。これまでにない面白い展示になりそうです。それとは別に各々の作品も飾ります。今年の締めに相応しい展示になりそうでワクワクしています。こちらは開催が長いので、お近くに来ることがあればぜひ。
◆ 中川貴雄HP http://www.ekakino-nakagawa.com/
◆ ボダイジュカフェHP http://www.bodaiju-cafe.com/index.html


詳細についてはオフィシャルサイトやブログにて。
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雨樹 一期(あまき いちご)
1977年生まれ。大阪出身のプロ・トイカメラマン。観覧車写真家。トイカメラならではの色彩と、淡く鮮明な表現を自在に操り、写真を通してどこか懐かしくポエティックな視覚世界を表現する写真作家。東京ドーム『SPA LaQua』にて環境映像作品「心の観覧車」の上映。WEBや雑誌にてトイカメラコラムの連載。携帯のきせかえツール、スマートフォンのきせかえカレンダーへのコンテンツ提供。電子書籍の出版。東京、大阪、パリで写真展の開催。トイカメラ講師など、幅広い活動を展開中。書籍に「しあわせの観覧車」「一期一会」など。

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