トイカメラの教科書 第74回 「今は無き、歴代フィルムTOP5」

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こんにちは、雨樹一期(あまきいちご)です。前回はエフェクトフィルムについて書きました。新しいフィルムですが、もともとあるフィルムに何らかの手が加えられたものです。新しいけど、新しくない。
フィルムの生産終了や値上げはもはや当たり前のようにアナウンスされています。世界的にはフィルム文化を守るろうという動きもありますが、日本のフジフィルムなんてやめる気満々に見えますよね。日本にはフィルムの面白さをシェアしていこうという動きも少ないので、仕方ないかもしれません。
そんな中、新しいフィルムが出ればどんどん紹介していきたいのですが、今回は逆に『もう生産終了した歴代のフィルムTOP5』を書いてみます。そんな時代もあったねと、記録的な意味も込めて。
いま存在するフィルムもおそらく、数年後には歴代フィルムに仲間入りすることになります。そう思うと、フィルムをやるのなら早い方がいいですよね。
それではまずは5位からいってみましょう。


第5位『FUJI PROVIA400X』
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発売されたのはフィルムが落ち目になっている頃です。そして早々に生産も終了。短い生涯でした。感度が400のリバーサルフィルムが貴重だっただけに残念です。
僕はもっぱらクロスプロセス現像で楽しんでいました。他のフィルムと違って、発色が独特でした。クロスすると緑系に転ぶことが多い中、PROVIA 400Xは唯一無二の黄色〜赤系。それもちょうどいい具合の色の乗り方で、桜との相性がとても良かったです。
ひと言で表現すると『現実的なレトロ』。生産終了からまだ3年も経っていないので、2016年くらいの期限切れならまだまだ使用出来ますね。
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第4位『Lomography X-PRO Slide100』
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ロモグラフィーが販売していた、クロスプロセス専用のリバーサルフィルムです。これだけ手持ちのフィルムがなかったので、過去にインスタにあげた写真を引っ張ってきました。
いまは感度200のものが販売されていますが、全くの別物です。ちなみに上の写真はリニューアル前のX-PRO100です。いま販売されているネガフィルムの『Lomochrome Purple XR 100-400』のように、リニューアルして色が少し変わりました。
好きだったのはこのワンコパッケージの初代『Lomogrpahy X-pro Slide 100』です。二代目の『X-Pro Chrome100』も良かったですけどね。僕は初代派でした。
クロスプロセスした時の発色は水色〜ブルー。雨の日もブルーが出てくれたので、天気に関係なく使っていました。
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第3位『Kodak Ektachrome100PLUS(EPP)』
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コダックのリバーサルフィルムです。またまた僕はクロスプロセス専用で使っていました。コダックのリバーサルフィルムは数種類あり、どれも青系になることが多かったのですが、このEPPは特に青が強く出ました。
そしてとにかく派手さ!ですね。何度も書きますが、緑系に転ぶことが多いのがクロスプロセスの特徴ですが、コダックは青系です。全体的に彩度があがり、青空の下での撮影には最適。
さらに他のフィルムで夕暮れを撮ってクロスするとたいてい真緑に染まるのですが、これは夕暮れもいい色になるときたもんだ!
3位の『Lomogrpahy X-pro Slide 100』と文章上での表現は似ていますが、あちらは切ない青、こちらは前向きな青って感じですね。
ゴリゴリになり過ぎて色が潰れることもありましたけどね。
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第2位『FUJI T-64』
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またまたリバーサルフィルムですね。でも今度はクロスせずに、普通にリバーサル現像です。
電球の下での撮影に使われていたタングステンフィルムです。簡単に説明すると、色温度の影響を考慮し、赤の感度をおさえて作られたフィルムです。これを外で使うとブルーに染まります。
明るめに撮ればふんわりと、暗めに撮ってもカッコイイです。低感度なので、ザラ付きもなく、かなりクリアーですね。
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第1位『AGFA ULTRA100』
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堂々の第一位はネガフィルムです。第4位の写真でチラ見せしています。
ペンキで塗ったような色彩とも言われており、蜷川実花さんが使っていたことでも有名です。
クロスプロセスほどのド派手さはありませんが、ネガの柔らかさがあり、そして鮮やか。花+青空との組み合わせには最強のフィルムでした。
僕は同じ場所でもいろんなカメラ、いろんなフィルムを使うのですが、アグファウルトラだけは目に飛び込んでくる鮮やかさが段違い。
コントラストが強過ぎることもなく、黒潰れも無い。ネガフィルムということで使い勝手も良く、一番復活して欲しいフィルムですね。
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今回ご紹介したフィルムを手に入れる方法は、基本的にはオークションですね。僕は海外のオークションから購入することもあります。
期限切れフィルムになるので、同じ発色を求めるのなら保存状態をチェックしましょう。冷凍保存していればほぼ大丈夫です。冷蔵なら4年くらい。
保存状態が不明なものは買いません。ある意味、目利きが必要なので、欲しいからといって高値で購入するのはリスキーです。
どうにか手に入れてワークショップで使うこともありますが、いろんな方に使ってみて欲しい気持ちと、我が家のストックに残しておきたい気持ちが入り交じっています(笑)。
さて。フィルムカメラをやっている方なら分かると思うのですが、『デジタルで撮って加工すればいい』とか言う人がチラホラといるみたいです(笑)。そういう発言をする方に、フィルムの良さや面白さ、フィルムを使い分ける理由をくどくど説明も面倒臭いし、伝わりません。
そんな時はひと言、「ロマンやねん!男のくせにそんなことも分からんの?」とでも言っておきましょう(否定してくるのはたいてい男)。きっと言い返せなくて黙ります(笑)。


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【名古屋】多重露光の基礎と撮り方
多重露光の基礎、撮影のコツなどを講座でお話します。その後、東山動植物園にて撮影をします。多重露光なので、重ね撮りすることになりますので、講座時間はいつもより少しだけ長くなる可能性もあります。

日程:2018/5/27(日)
時間:13時〜16時
料金:5,000円→詳細


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【大阪】超個性的なネガフィルムを使ってみよう!
変わり種フィルムを使うワークショップになります。初心者の方にはフィルムの面白さを。最近、撮影がマンネリ化しているんだよなーという方にはそれを打破して頂けるように、刺激的なフィルムをたくさん紹介します!
2018/5/17(木) →詳細
2018/5/20(日) →詳細
時間:13時〜16時
料金:5,000円


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