雨樹一期のトイカメラの教科書 第37回 「レッドスケール フィルム別・現像別の発色の違い」

こんにちばんは、雨樹一期です。今回は前回に引き続き「Red Scale」フィルムのコラムです。 自作してみましたか? まだの方は前回のコラムを読んでぜひ挑戦してみて下さい。記事を読みながらだと、きっと難しくはないので。 「フィルムを巻き取る時は、真っ暗な場所で」これだけはご注意下さいね。 今回は、フィルム別、現像別の発色の違いをご紹介します。基本は赤〜オレンジスメの被写体はやっぱり、レトロな場所です。

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〜カラーネガ ■「Lomography Color Negative 100」 まずは僕の一番のオススメ。「Lomography Color Negative 100」です。いろいろ試したけど、発色もよく、フィルムも安いので、断トツで一番です。 感度100のフィルムなので感度設定は100に、といいたいところですが、少し明るめに撮影するのがおすすめ。僕はLC-Aに入れて、感度25や50にして撮影しています。 LC-A+だと感度設定は100〜1600までしか設定出来ないので、感度設定の数字の上にある丸い窓部分を半分指で隠すと、少し明るく撮れます。 ・ LOMO LC-Aで撮影

003004005006007008 赤よりもオレンジが強いですね。少しシアンも出ています。 LC-A+より、LC-Aで撮る方がいいですね。違いについての詳細はトイカメラの教科書 第2回 「LOMO LC”A(+)の説明書」をご参照下さい。   ・ Vivitar Ultra Wide&Slimで撮影

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もう生産はしていない安価なトイカメラですが、レッドスケールとの相性はいいですね。「LOVEトイカメラ」というムック本の付録とほぼ同じカメラです。購入したけど、使ってない方は一度チャレンジして見て下さいね。   ・ HORIZON PERFECTで撮影 013 014 015 露出がマニュアルのカメラなので、明るく撮れますね。独特な色味。シアンも薄らと出ています。撮影場所は熊本の万田坑という炭坑跡です。このフィルムは廃墟など、古いものとの相性は抜群ですね。 016 HORIZONのスローシャッターを使ってかなり明るく撮ると、派手なスニーカーの色味も出ました。露出を変えるだけで随分違いますね。   ■Lomography Color Negative 800 次は「Lomography Color Negative 800」です。こちらは感度800のフィルムです。さきほどの感度100のフィルムだと、少し暗い場所になると手ぶれする可能性が出てきますからね。暗い場所用です。感度800のフィルムでは最安値です。3本セットなのに、コダックの「PORTRA800」1本よりも安いです。 僕のネットショップで販売している「nostalgie red 400」はこのフィルムで作っています。なぜ400なのかというと、800で撮ると真っ赤になるからです。説明に書いても見落とされる可能性があるので、はじめから400にしとけばいいか、と。 撮影時、感度は200か400に設定しています。全体的に感度100のフィルムよりも赤みが強く出ます。

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■「AGFA PHOTO VISTA + Plus 400」 次はアグファのフィルム。アグファは赤の発色が強いと言われていますからね。どうなるんだろーという好奇心もありましたが、よく考えるとこのフィルムはEUから日本製になって、色味も変わりました。富士フィルムが生産してるとか聞いたことあります。

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赤ですね。明るく撮っても結構、赤。明暗がある場所だと、暗い場所は潰れてしまいます。これを使うくらいならやっぱりLomographyのフィルムの方が断然いいですね。   ■Solaris100 生産終了したフィルムですが、こんな色になることもあるんだよって程度で一応。

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多重もしたからか、赤やオレンジやピンクになりました。ノスタルジー感があまりありませんね。ソラリスのザラっとした感じが好きだったので試してみたのですが、いまいちでした。 ソラリスで制作するのはやめときましょう。   ~リバーサル ここからはリバーサル編です。「Red Scale」はリバーサルフィルムでも制作は出来ます。制作方法は全く同じです。 ■ Lomography XPro 200 ロモグラフィーのクロスプロセス専用のリバーサルフィルムです。感度200のフィルムですが、100に設定してLC-Wideで撮影しました。

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明るく撮っているのに、全体的に暗いですね。重たいともいえます。明暗差がある場所だと、暗い場所は潰れてしまいます。「Lomography Color Negative 100」の倍くらいの価格だし。んー、オススメしません   ■ FUJI Velvia100 富士の大定番のリバーサルフィルムです。

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上のXpro200に比べると明るい感じがします。色味的には少し赤寄り。コントラストが強いので、暗い場所は真っ暗に。派手さはありますが、被写体や場所を選びそうですね。   ~クロスプロセス 最後はクロスプロセス編です。これ、僕は以外とお気に入りなんです。リバーサルフィルムなので当然価格は高いので、勿体ないですが。ご紹介しておきますね。   ■ FUJI PROVIA100F オールマイティーに使えて、根強い人気の富士のフィルムです。

047048 049050 051052 どうでしょう?いい感じですよね。上で紹介したリバーサルと違い、他の色も出てきます。全体的には明るいオレンジ色。ネガとはまた違った面白みがありますね。   ■ FUJI PROVIA400X プロビアの感度400です。僕が普段からクロスプロセスで多用している、お気に入りのフィルム。家にストックがたくさんあるので、これもレッドスケールにしてみましたよ。

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100と比べると少し落ち着いた感じですね。ザラつきもあって、ノスタルジー感でいえば一番いいのかもしれませんね。ただ、このフィルムは高い。どうしても価格を考えると、「Lomography Color Negative 100」でいいかってなっちゃいますよね。


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雨樹 一期(あまき いちご) 1977年生まれ。大阪出身のプロ・トイカメラマン。観覧車写真家。トイカメラならではの色彩と、淡く鮮明な表現を自在に操り、写真を通してどこか懐かしくポエティックな視覚世界を表現する写真作家。東京ドーム『SPA LaQua』にて環境映像作品「心の観覧車」の上映。WEBや雑誌にてトイカメラコラムの連載。携帯のきせかえツール、スマートフォンのきせかえカレンダーへのコンテンツ提供。電子書籍の出版。東京、大阪、パリで写真展の開催。トイカメラ講師など、幅広い活動を展開中。書籍に「しあわせの観覧車」「一期一会」など。

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