雨樹一期のトイカメラの教科書 第19回「二眼レフカメラ LOMO Lubitel166+」

こんにちは。雨樹一期です。今年は桜の開花が早いですね。毎年この時期はワクワクするのですが、どこに撮りに行こうかと焦りもします。満開にあわせて予定をたてるのも難しいですよね。個展の新作用にいい桜写真撮りたいです。

さて。今回のコラムはLOMO Lubitel166+です。僕の中では、LC-Aについでお気に入りのカメラです。最近いいなーと思える写真はLubitelが一番多いです。お値段と難易度はお高めですがオススメのカメラです。


描写はトイカメラに比べるとクッキリですね。ボケもいい味が出ていてフィルムの柔らかさもあります。ちなみにルビテルで撮影していると、おっちゃんによく話しかけられます。珍しいのかもしれないけど、仕舞いには「こっからなー、こうやって撮ったらええんや」なんてレクチャーされます。大阪だけかもしれませんが(笑)。


ルビテルはフルマニュアルのカメラです。ピント合わせだけでなく、その場の明るさに応じて、絞りやシャッタースピードも自分で決めなくちゃいけません。シャッター押せば撮ってくれるコンデジやスマホのカメラとは全くの別物です。露出がオートのLC-Aと比べても難しいです。


と、いきなりハードルをあげるようなことを書いていますが、全てを自分で決めるからこそ、自分だけの写真が撮れると思いますし、写真の勉強にもなります。初心者にはLC-Aをオススメしていますが、そこから抜け出す為にはフルマニュアルカメラでも撮っていくべきですね。写真の醍醐味ってきっとそこにありますから。


二眼レフはその名の通り、眼(レンズ)が二つ。上下に並んでいます。上がファインダーでの確認用で、下のレンズが撮影用になります。なのでファインダーで覗いているより、少し下にズレて撮れるんです。同じように撮りたいなら、撮影する時に少し上に持ち上げて撮りましょう。また、シャッターは撮影用レンズの側面にあります。


ファインダーに写る画像は左右逆になるので、構図を決めるのも初めは少し戸惑います。ファインダー中心に上下に分かれた丸い円があるので、その上下のズレを合わせることでピントを調整します。
瞬発性はなくじっくりと撮るカメラって感じですね。マニュアルの利点はめっちゃ撮った気になること。勉強になること。絞りを調整して背景をぼかすなど自分の意図した写真が撮れること。逆に欠点はとっさに撮るのが難しいこと。露出が狂ってしまって、オーバー(光を入れ過ぎる)やアンダー(光が足りない)な写真になることですね。他にもいろいろありますが、パッと思いついたのはそんな部分です。

◯絞り違いの写真

数字が小さいほどボケが強くなる。

◯オーバーとアンダーの写真

オーバーは柔らかい写真に、アンダーは堅い写真になります。僕は動物や花や人など、わざとオーバー気味に撮ることが多いです。


二眼レフの利点は、ウエストレベルで上から覗いて撮るのが恰好いいこと(笑)。地べた撮影などをする時にファインダーで確認出来ること。人物撮影に向いていること(撮影者が下を向いてるので撮られているという意識が薄れる)。見た目がレトロでお洒落なこと。欠点はレンズ交換に向かないこと。重たいこと。視差が生じることですね。ただ、ルビテルは他の二眼レフよりも随分軽いですよ。


◯ネガ現像

◯リバーサル現像

◯クロスプロセス現像


フィルムの装着はブローニを使うホルガなどを使っている方ならきっと簡単。裏蓋を開けて空のスプールを上側に装着します。フィルムは下側に入れ、遮光紙を伸ばして空のスプールに引っかけ、巻き送りダイヤルを少し回します。ちゃんと遮光紙が巻き送られているのを確認したら裏蓋を閉めます。裏の丸い窓に数字の「1」が見えるまで巻き送りダイヤルをグルグル回します。撮影後は同様に次の数字が出るまで回します。12枚撮影したら終わりです。空回りするまで巻き送りダイヤルを回して、フィルムを巻き取ってから裏蓋を開けます。
6×4.5のサイズのフレーム装着時は、丸窓が右側に来るように回転しましょう。こちらで16枚の撮影が出来ます。


露出については慣れが必要ですが、とりあえずベースを決めちゃえばいいんです。感度100のフィルムを入れて、晴れた日の太陽の下だとシャッタースピードは250の位置、絞りは8か5.6に。そこよりも少し暗い場所だとシャッタースピードを遅くするか、絞りを開放していけばいいんです。開放とは数字を小さくすること、数字が小さいほどシャッターが開いた時の穴が大きくなります。より光を取り込むんですね。
簡単に無責任に言っちゃうと、絞りもシャッタースピードも数字が小さいほど明るく撮れるってことです。カメラ裏側に書かれたガイドを参考にするのもいいですね。ただ、シャッタースピードに関しては60(1/60秒)以下になると手ぶれする可能性が出てきますのでご注意を。
シャッタースピードの「B」というのはバルブ撮影のこと。シャッターを押している間、ずっと窓が開きます。暗い室内や夜の撮影の時はここに合わせて撮ります。もちろん三脚などでしっかり固定する必要があります。

◯ バルブ撮影(長時間露光)


また、ルビテルはブローニだけでなく、付属のキットを使うことで35mmでの撮影も可能です。35mm使用時は裏面の丸窓は閉じておきましょう。ブローニと違って、遮光紙がないので感光しちゃいます。

前回のコラムでも少し書きましたが、35mmフィルムのパーフォレーションまで撮影されます。キッチリとしたカメラが少しトイカメラっぽくなりますね。動物撮ると可愛さもアップです。


デジタルでは表現出来ない味わい深さがあり、でもしっかりと撮れるカメラ。電池も入らないので、どんな条件下でも撮影が出来ます。真四角で撮影された写真はプリントすると、レトロでとっても可愛いですよ。


[スペック]
■ 重さ:500g(本体)
■ ピント:0.8、1.2、1.5、1.7、2、2.5、3、4、5、8、∞
■ シャッタースピード: 1/250、1/125、1/60、1/30、1/15、B
■ 絞り:f/4.5、f/5.6、f/8、f/11、f/16、f/22


 さて、私事の告知です。昨年、ボダイジュカフェにて開催致しました、togomamaカフェプロデュース「雨の川オリエンタル」が東京にて巡業展を開催です。

◆ 会場 アトリエベムスター
◆ 期間 4/14(日)〜4/20(土)
◆ 時間 17:00〜24:00
* 毎週火曜日はtogomamaカフェの営業をしています。
4/16(火)は20時よりライブペインティングを行います。

さらに5月には何度も告知をさせて頂いておりますが、個展「雨樹一期のトイカメラ遊園〜ひまわりファンタジーランド」の開催です。
遊園地や観覧車、花や空、動物や家の猫などなど。ファンタジック・レトロチック・ドリーミーな世界を創りあげます☆
ギャラリーがとっても広いので、特大サイズの写真や、昨年のボダイジュエキスポでのフォトポエムも展示致します。また、五感演出プロデューサーの新井敦夫氏に演出でのプロデュースもして頂く事になったので、ただの写真展ではない色んな仕掛けを盛り込んだ個展になると思います。
ギャラリーでの個展というのも久しぶりなのですが、これだけの規模での個展は初です。写真好きなご友人などもお誘い合わせの上、ぜひともお越し下さい。

主 催:有限会社アドプラス トイラボ事業部
写 真:雨樹 一期
演 出:新井 敦夫
開催期間:2013年5月21日(火)~5月26日(日)
開館時間:11時~19時00分(最終日は17:00まで)
会 場:LE DECO(住所:東京都渋谷区渋谷3-16-3 ルデコビル2階)
入 場 料: 無料


詳細についてはオフィシャルサイトやブログにて。
■ プロ・トイカメラマン雨樹一期オフィシャルサイト
http://www.amaki15.com/

■ トイカメラ日和
http://amaki15.blog90.fc2.com/

■ 猫レシピ
http://cat.amaki15.com

■Twitter
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雨樹 一期(あまき いちご)
1977年生まれ。大阪出身のプロ・トイカメラマン。観覧車写真家。トイカメラならではの色彩と、淡く鮮明な表現を自在に操り、写真を通してどこか懐かしくポエティックな視覚世界を表現する写真作家。東京ドーム『SPA LaQua』にて環境映像作品「心の観覧車」の上映。WEBや雑誌にてトイカメラコラムの連載。携帯のきせかえツール、スマートフォンのきせかえカレンダーへのコンテンツ提供。電子書籍の出版。東京、大阪、パリで写真展の開催。トイカメラ講師など、幅広い活動を展開中。書籍に「しあわせの観覧車」「一期一会」など。

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