雨樹一期のトイカメラの教科書 第16回 「NATURA CLASSICAの説明書」

  こんにちは雨樹一期(あまきいちご)です。いやはや、すっかり冬ですね。年々秋が短くなってる気がします。ていうよりもう年末ですね。お正月です。
 毎年寒くなるにつれ写真を撮る機会がめっきり減ってしまうんですが、この冬は気合い入れて撮りにいこうと思ってます。いまのとこ展示準備などの忙しさがあったのですでに乗り遅れ気味ですが。んー、イルミネーションもクリスマス過ぎてもやってますからね。これから頑張ります。

僕は夏の炎天下での撮影は平気なんですが寒いともう冬眠したくなります。仕事で雪国に撮影いったことありますが、マイナス何度って吹雪の夜で長時間露光をしていて、凍死しかけたことがあります。さて今回のコラムはイルミネーション撮影もふまえて、NATURA CLASSICA(以下、NATURA)でいってみます!生産は中止されちゃったんですがまだ販売はされていますし、人気のあるコンパクトフィルムカメラです。

 僕はもっぱら、目測で距離設定をするトイカメラを使うもんだから、オートフォーカスのNATURAはめっちゃ気軽というか、簡単というか。きっちりと作られたカメラという表現は適切か分かりませんが、露出もオートで正確なので失敗がほとんどありません。感度設定ももちろん自動です。大化けする写真こそ少ないですが、見たままの風景を撮れるのが魅力ですね。最短距離は40cmなので多くのトイカメラより被写体に寄っての撮影が可能です。

フィルムなのでデジタルで撮るよりも柔らかく、ポートレートや動物撮影にも適していますね。



 またレンズもf2.8と明るいので、ノンフラッシュで室内も自然に、イルミネーションもキレイに撮れます。背景が暗い場所でフラッシュ使うと人物だけが照らされて背景が真っ暗になっちゃいますからね。ノンフラッシュで自然な光だけで撮影するのが一番自然です。赤目になることもないですからね(設定で赤目軽減モードはあります)。以下は全部手持ち撮影です。


 では撮影していきましょう。ってことでフィルムの装着から。
裏蓋を開けて右側にフィルム本体を入れます。フィルムをおさえながら、先端(ベロ)をFILM TIPのマークまで引き出します。それだけでもいいのですが、左側のスプールを手でクルクル回すと小さい出っ張りが出てくるので、そこにパーフォレーション(穴)を引っ掛けると失敗もありません。そのまま裏蓋を閉じればあとは自動で一コマ目まで巻き送ってくれます。巻き送りが正常に行われなければカメラ上部の液晶部分に「E」という文字が表示されます。その時は裏蓋をあけてやり直します。


 次に日付け設定をなくしましょう。
意外とそのまま撮ってしまう方が多いのですが、OFFにしないとプリントした写真の右下に日付けが入ってしますので、まるで記念写真みたいになっちゃいます。気にならない方はいいのですが、作品っぽさはなくなりますね。

OFFにするには電源を入れて「メニュー」を押し、「→」を五回押すと左下部分が点滅するので、「選択」を何度か押して「OFF」が出て来たら「メニュー」を押します。


 またNATURAにはセルフタイマーなど色んな設定が可能です。
まずはスローシャッターです。イルミネーションをよりキレイに撮影出来ます。少し暗いかもって思ったら、スローシャッターで撮りましょう。ただ手持ちだと手振れの可能性があるので、三脚を使ったり地べたに置くなど、カメラを固定した方がいいですね。
 設定方法は、電源を入れて「メニュー」を一回押すと人と月の表示が出てくるので、「選択」を押します。


 次に遠景モードです。
山の上から風景を撮るって時だけではなく、空だけを撮る時も使えます。オートフォーカスって空にピント合わせるのが若干苦手だったりしますからね。またこれだけでなく、ガラス越しのものを撮るのにも適しています。水族館などで撮影するとガラスにピントを合わせることがありますからね。ガラスの向こうにいるイルカを撮りたいって時にも使えます。正直なところ、僕はあまり使ってはいないですけどね。

設定は電源を入れて、「メニュー」を一回押し、「→」を三回押すと山の表示が出てくるので、「選択」を押します。



また、露出補正も出来ます。初心者の方だと言葉だけ聞いたら何じゃそりゃってなりますね。簡単に言うと、明るく撮ったり(ハイキー)、暗く撮ったり(ローキー)出来ますよってことです。-2、-1.5、-1、-0.5、0.5、1、1.5、2と段階露光が可能になります。

せっかくの機能なのですがあまり使われてないんですね。でも、ぜひ使って欲しいです。色味やコントラストがガラリと変わりますよ。リバーサルフィルムを入れることでそれがより強くあらわれます。一度露出補正の設定をすると、NATURA本体の電源を切っても補正値は解除されません。フィルムを巻き戻すまで固定されますのでお気を付けて。
違いについては以下を参照して下さい。

設定方法は電源を入れて、「メニュー」を一回押し、「→」を四回押すと「+と−」の表示が出てくるので、「選択」を押して段階を選びます。暗く撮りたい時はマイナスに。明るく撮りたい時はプラス側にしましょう。


「次に、テクニックってほどでもないのですが、デジカメと同じく半押しでピント合わせて、そのままカメラをズラして撮影も可能です。NATURAは中心にピントを合わせるので
(ファインダーを覗くと中心に枠があります)、中心に被写体がない状態だと、背景にピント合わせちゃいますからね。そゆ時はまず被写体にピントを合わせます。半押しするとファインダー右下の緑のランプが点灯するので、そのまま左右にカメラをズラして撮りましょう。」


  NATURAといえばノンフラッシュが魅力ですが、カメラ本体、左上のフラッシュマークのボタンを押すと内蔵フラッシュが出てきます。赤目軽減撮影は、その状態で「メニュー」「→」と押していくと、目のマークが出て来るので「選択」を押します。
強制フラッシュで逆光にある被写体に光を当てることも可能ですし、夜に雪を撮っても面白いですよ。


 おすすめのフィルムは富士ならNATURA1600ですね。暗い場所での撮影が出来ることだけじゃなく、かなり明るく撮影しても色がなくなることはないので、日中に外で撮影しても問題なく撮れます。



 野外での撮影ならPRO400Hもいいですね。低彩度で少し青緑に転んだような淡い写真が撮れます。僕は露出補正で+1や+2にして、明るめに撮っています。



  コダックならPORTRA400ですね。一言で言うと絶妙な柔らかさです。ザラつきもNATURA1600ほどきつくなく、色の再現も良くってグラデーションも滑らか。こちらも露出補正で明るめに撮るのもいいですね。



◎あとはいくつか補足を。
NATURAは感度800以上のフィルムを入れるとNPモードになりますが、これも実は露出補正で0から+2の間で撮影されています。
 光が足りない時はファインダー右上のランプが赤く点滅し、ピーピーピーと音が鳴って「手ぶれに注意」を知らせしてくれます。カメラを固定出来るのならスローシャッターで撮影するのが一番いいのですが、思い切ってそのまま撮っても案外撮れています。
距離が近くて(40cm以内)ピントを合わせれない時は、緑のランプが点灯します。
シャッターを半押しすると、下の緑のランプが点灯します。さらに押し込めば撮影されます。


 NATURAのレンズは明るいだけなく、広角(28mm)と望遠の撮影が可能です(55mm)。電源を入れたデフォルトの状態は広角です。


クロスプロセスも面白いですね。





  さて、このコラムが今年最後となります。まずは初心者を対象としたトイカメラやフィルムの基本を書いてきました。まだ書けていない「トイカメラの説明書」もありますが、少しずつ難易度をあげながら、いろいろ書いていけたらなと思っています。一年間ありがとうございました。また来年も宜しくお願い致します。

あと宣伝を二つほど。
 まず一つめは、ボダイジュカフェで12月23日まで開催のtogomamaカフェプロデュースによる絵描きの中川貴雄さんとのコラボ展「雨の川オリエンタル」。僕の写真をキャンバスに印刷して、その上から中川さんに絵を描いてもらったり、下記DMの写真のように、中川さんの描いた絵を写真に撮って、その上から僕が写真を撮り重ねたりと。これまでにない面白い展示になっています。それとは別に各々の作品も飾ります。今年最後の写真展、お近くに来ることがあればぜひ。最終日前日の12月22日(土)にはクロージングパーティー(PM6:00~)も開催します。いろいろとお話しましょう ♪

※画像はDM。尚、12/21(金)はカフェ貸し切りの為に入れません、ご了承願います。
◆ 中川貴雄HP http://www.ekakino-nakagawa.com/
◆ ボダイジュカフェHP http://www.bodaiju-cafe.com/index.html

そして二つめは、2013年のオリジナルカレンダーを制作致しました。ネット通販をしているので来年のお供に選んで頂けたら喜びます。宜しくお願いします♪


カレンダーの詳細は以下から。
http://amaki15.blog90.fc2.com/blog-entry-2644.html


詳細についてはオフィシャルサイトやブログにて。
■ プロ・トイカメラマン雨樹一期オフィシャルサイト
http://www.amaki15.com/

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雨樹 一期(あまき いちご)
1977年生まれ。大阪出身のプロ・トイカメラマン。観覧車写真家。トイカメラならではの色彩と、淡く鮮明な表現を自在に操り、写真を通してどこか懐かしくポエティックな視覚世界を表現する写真作家。東京ドーム『SPA LaQua』にて環境映像作品「心の観覧車」の上映。WEBや雑誌にてトイカメラコラムの連載。携帯のきせかえツール、スマートフォンのきせかえカレンダーへのコンテンツ提供。電子書籍の出版。東京、大阪、パリで写真展の開催。トイカメラ講師など、幅広い活動を展開中。書籍に「しあわせの観覧車」「一期一会」など。

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