雨樹一期のトイカメラの教科書 第10回 フルパノラマカメラ 「ホライゾンの説明書」


 こんにちは、雨樹です。前回、前々回とフィルムの話をしたので、今回は一つのカメラに絞ったお話を。ホライゾンパーフェクト(Horizon Perfekt)です。

 トイカメラには属されないし、少し高価。でもゼンマイ仕掛けでレンズが左から右手へスイングしながら撮影するところがおもちゃっぽくもあります。これね、言葉の説明だと通じにくいんですが、実際にそのレンズの動きを見た方は「うおー」っと驚かれます。ちなみに、僕はこのカメラを人に説明する為にスイング撮影の様を見てもらいますが、たいていフィルム入れてます。なので驚いてる顏はしっかり撮れてます(笑)。

 定価で購入すると4万5千円くらいですが、電池もいらないし、LC-Aみたいに故障もほとんどないし、何より描写がたまんないので買って損のないカメラだと思ってます。持ってる方は少ないですが、欲しいという方は結構いるんですよね。でもトイカメラという概念があるからか、安価じゃないだけで躊躇してしまう。いやいや待ちなはれ、と。トイカメラじゃなくって、パノラマカメラですから。いいなと思ったら勢いで買っちゃいましょう(笑)。僕もずっと欲しいと思いながら、最終的には勢いで買いましたから。

ホライゾンはコンパクトとパーフェクトの二種類あります。コンパクトは多重露光が出来るけど、シャッタースピードは1/60と1/2のみ、絞りは8で固定。パーフェクトは多重露光が出来ないけど、絞り(f/2.8, f/5.6, f/8, f/11, f/16)とシャッタースピードがマニュアルで(1/500, 1/250, 1/125, 1/60, 1/8. 1/4. 1/2)どんな状況下でも適正露出での撮影が可能です。露出の勉強にもなるし、ローキーやハイキーにも撮れるので、どうせ買うのならパーフェクトがオススメですね。ま、それをずっと使い続けてる僕はコンパクトで多重露光もしてみたいですが(笑)。とりあえず今回のコラムはホライゾンパーフェクトの説明書です。

まず何がいいってパノラマ感ですよね。って、まんま過ぎますがやっぱりファイダーを覗いた時の迫力が圧倒的。世界はこんなにも広かったーって感動します。いつも見てる空を横に長く見てるだけなんですけどね。人間の目はここまで広角に、しかもパノラマに切り取ることはないですから。言葉の説明ばかりになっちゃってますが、この世界を実際にファインダーを通して見て欲しいです。

パノラマといっても何を撮ればいいの?と聞かれると、まずはやっぱり空ですね。普段使うLOMO LC-Aだと、空のどの部分を入れるか迷います。あの雲を入れたいし、でもこっちの方が空の色がいいな、とか。それがホライゾンなら全部入ります。と、言えば大袈裟かもしれないけど、目の前に広がる空をダイナミックに表現が出来るんですね。



 縦に構えて、足元から続く道と空なんて撮ってみたら、それだけで力が湧いてくるような写真が出来上がります。もちろん縦に長いので、でっかい木やビルも丸ごと入っちゃいますね。縦に長く続くものを意識するのも面白いですね。



もちろん空に限らず花もいいですね。僕がこのカメラではじめに撮りたいと思ったのが花でした。




 夜はスローシャッターで撮影も出来ます。この際は感度400以上のフィルムの方がいいかな。本体の巻き戻しクランクに高速と低速の切り替えレバーが付いてます。白が高速シャッター。オレンジが低速シャッターです。室内や少し暗い場所なら低速で。ただし手ぶれには注意を。




もちろん、日常にある風景もいいですねー。ただその広がりゆえに余計なものが写り込むこもしばしば。田舎とか何もない場所にはぜひ持って行きたいですね。また、寄って撮るので警戒心の強い猫の撮影が少し難しいかな。




 またホライゾンに角度を与えることで独特の歪みが現れます。上や下を向けて撮ってみましょう。この歪みが世界をより印象的なものに写し出します。



 またこのカメラの変わってるのがピント合わせです。なんと絞りを変えることで距離を合わせるんですねー。合わせるというより最短距離が変わると言った方が正しいかな。まず、ホライズンの撮影最短距離は1mです。そこにピントを合わせたい時は絞りを16にしなくちゃいけません。撮影すると1mより遠いもの全てにピントが合います。

 そこから絞りを開放する(数字が小さくなる)につれて最短距離が遠くなっていきます。F11は1.5mから∞、F8は2mから∞、F5.6は2.9mから∞、F4は3.9mから∞、F2.8は5.5mから∞にピントが合います。

 なので、最短距離に合わせて露出を変えていかなくちゃいけないという不思議なカメラ。少し初心者には扱いが難しいかもしれないですね。でも僕はそんな知識ない頃に購入、使いながら覚えていきました。なのできっと大丈夫。初心者だからって買うのをやめる必要はないと思います。

 露出については、とりあえずベースを決めちゃえばいいんです。感度100のフィルムを入れて、晴れた日の太陽の下だと絞りは8でシャッタースピードは500か250の位置に。そこよりも少し暗い場所だとシャッタースピードを遅くするか、絞りを開放していけばいいんです。開放とは数字を小さくすること、数字が小さいほどシャッターが開いた時の穴が大きくなります。より光を取り込むんですね。絞りとシャッタースピードの関係もまたじっくり書きたいと思ってますが、簡単に無責任に言っちゃうと、絞りもシャッタースピードもホライゾンに書かれている数字が小さいほど明るく撮れるってことです。


 フィルムの装着ですが、他のカメラと若干違います。というより、少しだけ手間かな。まずフィルムの向きは上下逆さまに装着。フィルムを少し長めに引き出して巻き送りレバーでフィルムを送りながら、全箇所、裏側を通していきます。先端をスリット部に差し込み(パーフォレーション穴の二つ目が隠れるくらい)、フィルムを少し送ってから裏蓋を閉めます。一枚か二枚ほど空シャッターを切ってから撮影していきます。この時、カメラ左上の巻き取りクランクが連動して回転してることも確認しましょう。


 ホライゾンはパノラマなのでフィルムの撮影幅も広いです。最高で23枚くらいまで撮れるのですが、撮影後にフィルムを巻き送れなくなったら裏にある小さなボタンを押して、巻き取りましょう。抵抗があるのに無理に巻き送ろうとすると中でフィルムが切れちゃうこともあります。フィルムカウンターが22枚くらいまできたら、もう巻き取った方がいいかもしれないですね。

撮影時の注意点ですが、このカメラは逆光に弱いです。スイングしながら撮っていくので、太陽を入れるとその部分の明暗が極端に変わっちゃうんですよね。


 次に指が写り込まないようにすること。カメラの横に指がこないように構えなくちゃいけません。ファインダーを覗いても指は見えないので、気が付かないまま撮ってしまって、全部指が入ってしまったーってケースも度々聞きます(笑)。なるべく指が前にでないように構える事をおすすめします。付属品でハンドグリップがありますので、それを装着して撮るのもいいですね。


 また、ハンドグリップには蓋があって、開けると三種類のフィルターが出てきます(コンパクトだと二種類)。UVフィルターと、YGフィルターと、減光フィルターです。
 UVフィルターは紫外線をおさえて、クリアーな色表現をしてくれます。
 YGフィルターはモノクロ撮影時のバランスを整えてくれます。カラーフィルムで使用すると、クロスプロセスしたみたいに全体が薄らと黄緑色に。
 減光フィルターは光を一段階減らしてくれるもの。
僕はどれもほとんど使っていませんねー。接写用のフィルターがあればいいのにって思います。

装着方法ですが、シャッターを半分巻き送って、レンズのスリット部分が正面にくるように調整。そのままレンズとフィルターが重なるように、中に押し込みます(多少強引かなってくらい)。装着が出来るとカチッとはまった音がします。外すときは余ったフィルターの端を、装着されたフィルターのツメに引っ掛けて、グイッと引っ張りだします。


 最後に。僕はトイラボさんに現像をお願いする以前は、自分で現像とスキャニングをしていたんですが、LC-Aなどのサイズなら24枚までまとめてスキャン出来たのが、ホライゾンだと1枚ずつしなくちゃいけない。これがとっても手間でした。なんてこともあり、それをスキャンしてデータにしてくれるトイラボさんは僕にとってとてもナイスな現像所さんです。パノラマサイズに対応してくれる現像所って少ないですからね。同時プリントで頼んだのに、両端をトリミングされて普通のLサイズでプリントされた日にゃ、ホライゾンで撮った意味がないですもんね。

 また、トイラボさんではホライゾンの同時プリントも開始されたとのことなので、一度プリントしてみることもオススメですねー。やっぱりモニターで見るのとは少し印象も変わってきますから。とりあえず持ってない方は勢いで手に入れて(笑)。まずはいつもと同じように、深く考えないで撮ってみましょう♪


 


 私事ではありますが、展覧会などの告知を。

まずは前回も告知させて頂いていたことですが。東京ドームSPA LaQua(スパラクーア)5階、ヴィーナスラウンジ内にて上映されていた環境映像作品「心の観覧車」が、夢編としてリニューアル致しました。設置に時間がかかりましたが、ようやくスタート出来そうです。15分のゆっくりと流れるスライドショーです。15分というのはラクーアにある観覧車の一周の時間に合わせています。写真枚数は選りすぐった45枚。これはゴンドラの数に合わせています(笑)。ラクーアに訪れた際にはぜひ一度ご覧下さい。
■ 東京ドームSPA LaQua
http://www.laqua.jp/spa

デザインフェスタギャラリーWESTにて開催「ARTALK3」に参加させて頂く事が決まりました。昨年に引き続き、トイラボ&nocos&雨樹一期ブースにて個展をやります。開催は9/29〜30日。ぜひぜひお越し下さい♪  
■ ARTALK3
http://artalk.jp/

少し先ではありますが、大阪でも年末にビックなイベントに参加致します。NEW
OSAKA HOTEL心斎橋さんを丸ごと借り切って開催される、日本初のイベント「ボダイジュエキスポ」です。開催は11/24〜25日。絵画やイラスト、クラフトや立体作品、とにかく前線で活躍されている「人を呼べるアーティストさん」が100組参加されるので、相当面白いイベントになると思います。ぜひぜひぜひです。
■ BODAIJU EXPO|ボダイジュエキスポ2012
http://expo.bodaiju-cafe.com/


詳細についてはオフィシャルサイトやブログにて。
■ プロ・トイカメラマン雨樹一期オフィシャルサイト
http://www.amaki15.com/

■ トイカメラ日和
http://amaki15.blog90.fc2.com/

■ 猫レシピ
http://cat.amaki15.com

■Twitter
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■Facebook pages
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雨樹 一期(あまき いちご)
1977年生まれ。大阪出身のプロ・トイカメラマン。観覧車写真家。トイカメラならではの色彩と、淡く鮮明な表現を自在に操り、写真を通してどこか懐かしくポエティックな視覚世界を表現する写真作家。東京ドーム『SPA LaQua』にて環境映像作品「心の観覧車」の上映。WEBや雑誌にてトイカメラコラムの連載。携帯のきせかえツール、スマートフォンのきせかえカレンダーへのコンテンツ提供。電子書籍の出版。東京、大阪、パリで写真展の開催。トイカメラ講師など、幅広い活動を展開中。書籍に「しあわせの観覧車」「一期一会」など。

「トイカメラの教科書」に掲載されているすべての画像・文章は著者の雨樹一期様が所有しています、許可無く無断で複製・配布することはご遠慮下さい。



※HorizonPerfektご購入の参考サイト 「ロモグラフィーオンラインショップ」

http://japan.shop.lomography.com/horizon-perfekt?utm_source=website&utm_medium=banner&utm_campaign=Horizon_Spring

 

 

 

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