トイカメラの教科書第64回「写真の評価について」


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こんにちは、雨樹一期(あまきいちご)です。前回、前々回と写真の技術とはまた違った視点でのコラムにしていますが、今回もその延長です。「写真の評価について」です。先に書いておきますが、これもあくまで持論です。100%僕が合っているとは思っていません。なので、このコラムを読んで「その考えは間違っているぜ、おまえさん!」って思った方は、そう思っていて下さい(笑)。その考え方もきっと正解です。
では参ります。まずは写真を始めた頃のことを思い出して下さい。撮ることに夢中で、それを誰かに見せる考えはなかったかと思います。僕は漠然と作家活動を目指していたので、はじめから見せる前提で撮っていた変人ですが、大半の方は撮る事が目的だったかと思います。
それがしばらく撮り続けていくと、誰かに見てもらいたくなります。SNSに投稿したり、ブログをはじめたり。展示もしてみたいって考えも出てきます。「自分にも写真で表現出来ることがあるんじゃないか」と思うのは、厚かましくなんてありません。ごくごく自然なことです。
やっぱり、第三者からの評価って気になりますよね。アドバイスも欲しいですが、褒められたいし、何かを感じてもらいたい。でも、この評価。
さてはて、これは一体何でしょう?
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スナップ的なのが良いのか、三脚構えてしっかりが良いのか。ローキーが良いのか、ハイキーが良いのか。派手が良いのか、モノクロが良いのか。評価方法として、ただの好き嫌いというのがあります。単純にこれだけで決まるのなら分かりやすいんですけどね、実際はそうではない。もうちょっと掘り下げていきます。
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評価の対象
たとえば、誰々の写真が良いと言っている人は、別の誰か、もしくは自分と比べて「良い」と言っているんですね。評価って対象があります。意識せずとも、何かと比べている部分があります。だから人によって評価の基準そのものってバラバラです。 初心者が上級者の中に混ざると、居心地が悪いかもしれません。上級者が初心者の中に混ざると、鼻高々かもしれません(笑)。
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価格で評価 僕よりも写真の知識がある人って世の中にたくさんいます。いいカメラやレンズを持っている方もたくさんいます。残念だけど、そこだけで評価してくる人もいます。その評価っていうのは、写真そのものをちゃんと見ていないので、正しい評価とはいえないかもしれない。でもそれも一つの評価です。

たとえば僕の写真。LC-Aは定価で3万円ほどです。フルサイズのデジタル一眼と比べると安価です。価格で判断する人に写真を見せたとしても、『トイカメラ=おもちゃ=安い機材=ダメ』という発想になります。

さらには、多重露光・クロスプロセス・光漏れなんてしちゃっていますからね。邪道the邪道かもしれません。まぁ、そういう目で見られるのはまぁ仕方ないかなとは思っていますが(笑)。
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評価と評価 単純にフィルムだからダメという人もいますよね。モノクロじゃないとダメ、とか。「写真はこうじゃないとダメ」という頭の堅い方はたくさんいます。

中には「いい写真撮るねー」って褒めてくれていたのに、周りに評価され出すと、叩きはじめてくる方もいます(笑)。逆に「世間に評価されている人」という理由だけでイイ!と言う方もいます。仲良しだからイイ!もありますね。そこには撮影者の人柄もあるのかもしれません。

僕は出来る限り正しい評価が欲しいので、Facebookやインスタなどの「相互フォロー・相互イイね!」とかは無用ですが、写真をはじめた頃はブログのコメント欄で褒め倒されていました。僕も褒めてくれた人を褒めていました。今でいう相互イイネみたいなことをしていたのかもしれません。お互いを評価し合う、というか褒め合うんですよね。別に嘘だったわけでもないし、相乗効果はあったのかなと思います。 それが今なんてブログのコメント欄で褒められることなんてほぼありません(笑)。ある意味一番評価されていたのは、写真をはじめた頃なんですよね。でも当然、今の方がイイ写真撮っている自信はあります。ということで、もう何が正しいのやら、です(笑)。

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どこで評価するかは人それぞれです。逆に言うと、他人からの評価で自分が決まる訳ではないんですよね。

たとえば誰かにけなされた、否定されたからといって、それを言ってくる人の世界観の中での話ですから、全て鵜呑みにして凹む必要はありません。

もちろん、嫌な言葉を浴びせられて気持ちが良いわけありませんが、そんなに気にしなくてもいいと思います。また別の誰かの世界観では、また別の評価になります。褒めてもらえたら素直に喜べばいいんです。

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僕なんて展示しても、「Photoshopで加工しているだけだよ」とか言われ続けてきました。加工はしていないけど、加工していたらそれだけでアカンのかい?って思いますよね。デジタルのRAW現像でイジリ倒す人なんてたくさんいますよ。「こういう写真あんまり好きじゃない」とかわざわざ言ってくる人もいました。変わったカメラで変わったことしていますからね。プロの写真家に「トイカメラの写真家です」と言ったら鼻で笑われた事もあります。写真を見てもいないのにね。そうやって小馬鹿にしてくる人はたくさんいます。悪気があろうと無かろうと。ですから、人に見て貰いたい想いが強いなら、いちいちそんなこと気にしていられません(笑)。 でも一つ、大切なことがあります。

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自分が写真で何を伝えたいのか?

これね。僕は大切だと思います。たとえば個展をすると、そんな質問は当然されます。答えられないなら個展すべきではないでしょう。まず、個展のテーマにそれが含まれているはずなので、答えられないなんてことはないと思いますが。

伝わるか伝わらないかはそんなに大切じゃないです。人によって捉え方も様々です。いろんな感想を頂けるのが一番です。自分の好き勝手に撮って来た写真を、見てくれる人に丸投げするのではなく、普段から<「写真で伝えたいこと」を意識するのは大切です。撮る写真にもそれは現れます。そんな想いがあれば世間の評価なんて気にならなくなります。凹まなくなります。

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まとめ

評価。されるのは怖いかもしれません。でもその基準なんて人それぞれです。だからダメと言われてもあまり気にしなくていいです。それがアドバイスなら受け入れてもいいでしょう。褒めてもらえたら喜びましょう(笑)。そして積極的に見て貰いましょう。そこから新しい気付きが生まれてきます。

自分が評価する側なら、自然体で見るのが一番だと思います。誰が撮ったのか?有名な人?アマチュア?どこのカメラ?レンズは?フィルム?デジタル?どこで?いつ?そういった余計な情報なしで、ただその写真を見ることです。写真歴が長くなるほどそれが出来なくなります。情報が勝手に先に飛び込んできます。 知人がグループ展で展示していたとしたら、まずは知人の写真を探す方がいますが、一周目は写真だけ、次にキャプション(名前)、と。そうやってなるべくフラット見ることが出来ればいいですね。 最後に。ずっと胸に留めて欲しいのは、あなたが大切に撮って、大切に残していく。それは誰が何と言おうと『世界でたった一枚のステキな写真』です。だから、人の評価で悩まないで下さいね。


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【名古屋】
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・6/25(日) 期限切れフィルムで撮るレトロ商店街
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・8/20(日) 夏空とクロスプロセス(天保山)
・9/17(日) フィルムで操る色彩(神戸異人館)
・10/15(日) 雨樹一期とフィルムスワップ(万博公園)
・11/19(日) カメラシャッフル(中之島バラ園)
・12/17(日) 被写体の捉え方(淀屋橋)

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大阪は同時に木曜日クラスも開催決定
・6/29(木) 期限切れフィルムで撮るレトロ商店街
・7/20(木) 夏空とクロスプロセス
・8/17(木) 多重露光の基礎とその応用
・9/21(木) フィルムで操る色彩
・10/19(木) 雨樹一期とフィルムスワップ
・11/16(木) カメラシャッフル
・12/21(木) 被写体の捉え方

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雨樹 一期(あまき いちご)
1977年生まれ。大阪出身のプロ・トイカメラマン。観覧車写真家。トイカメラならではの色彩と、淡く鮮明な表現を自在に操り、写真を通してどこか懐かしくポエティックな視覚世界を表現する写真作家。東京ドーム『SPA LaQua』にて環境映像作品「心の観覧車」の上映。WEBや雑誌にてトイカメラコラムの連載。携帯のきせかえツール、スマートフォンのきせかえカレンダーへのコンテンツ提供。電子書籍の出版。東京、大阪、パリで写真展の開催。トイカメラ講師など、幅広い活動を展開中。書籍に「しあわせの観覧車」「一期一会」など。

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