雨樹一期のトイカメラの教科書 第11回 「Sprocket Rocketの説明書」
どうも、雨樹一期です。連載11回目にして今更ですが、雨樹一期はあまきいちごと読みます。これは作家名なのですが、甘い苺のように熟れて(売れて)いこうって感じで名付けました(笑)。どうせ作家活動していくのなら、下の名前をローマ字にしただけのものより、姓と名がある方がいいですしね。何より検索で自分だけがひっかかりますから。
あとは、一期一会という言葉が好きなのと、雨や樹と一期の漢字の並びもいいこと、自分の作品にもどことなく合っているので思い切って決めました。さすがに男で苺という漢字はないですしね(笑)。フリガナがないと読めないみたいなので、勝手ながらここであらためて自己紹介させて頂きました(笑)。ちなみに雨木や雨期と間違われやすいですが雨樹です。覚えてくれたら嬉しいです。
写真なんかでアート活動していこうとしている方に思うのは、まずは他の人と被らない名前にすることだと思うんです。作品だけでなく名前にも個性はあった方がいいですもんね。後はコロコロ変えないことですね。
さてさて、今回のテーマは前回のパノラマカメラのトイカメラ編です。ロモグラフィーより販売されている、Sprocket Rocket(スプロケットロケット)です。HORIZONみたいにキレイに撮れることはないんですが、トイカメラらしさがたっぷり、おまけに価格もドーンと安くなって8,500円(ブラック)〜8,900円(カラーモデル)ほどで購入出来ます。
以下に掲載している写真の通り、パノラマでパーフォレーション(スプロケット穴)まで撮影出来ます。これが可愛いくて、頻繁には使わないもののお気に入りのカメラです。ちなみにスプロケットというのは訳すと歯車という意味。35mmフィルムの上下には穴がありますよね。この部分はフィルムを巻き送るためにあるので、普通のカメラだと撮影外になります。でもその歯車部分も撮っちゃえってカメラです。もちろん内部にフレームを付けると、普通のカメラのようにも撮れます。
トイラボさんではこのパーフォレーション部分を含めてデータ化してくれます。僕の自宅にあるスキャナーでは取り込めないので、個人的にもとても助かっています。プリントサービスもされているのでお試し下さいね。このカメラのプリントはかなりオススメです。
さて、このカメラ。持ってるけど使わない人が多くって。難しいとか、うまく撮れないという声も聞きます。僕からしたらダイアナミニやブラックバードフライよりも簡単なんですけどね。てことで、撮影のコツなんかもふまえながら書いていきます。
まず描写の大きな特徴。それは中心にピントが合うこと。周辺にいくに連れてピントは甘く、光量も落ちていきます。いい意味でトイなレンズ。ホルガのレンズの特徴と似ています。
中心に被写体を置くという、いわゆる日の丸構図は無難過ぎて、カメラ中級者は外しがちですが、スプロケットロケットのレンズの特徴を考えると基本は中心がいいと思います。
被写体を左右に寄せてしまうとボケちゃいます。主役がボケていると、伝えたいことがハッキリしない、いわゆる眠たい写真になってしまいますね。
だけど、慣れてきたらあえてあえて少し外しましょう。
被写体を点ではなく、線でとらえるのもオススメです。
ちなみに、パーフォレーションの部分と被写体が被ってしまうことがありますが、それはそれでありかと思います。どんどん重ねていきましょう。
重ねるといえば多重露光も出来ます。撮ったあとに手動で巻き送るタイプのカメラなので、多重するつもりなくても多重になってたりします(笑)。
フォーカスは60cm~1mと1m~無限の二種類。広角なレンズなので60cmでも、思ってるよりも小さく写ります。ま、あまり距離を気にせず多少ぶれようが寄って撮りましょう。一眼用のフィルターで無理やり接写も出来ます。
シャッタースピードはNとBのみ。Nは1/100の固定。Bとはバルブモードで、シャッターを押している間はシャッター窓が開き続けます。もちろん固定してないとブレブレ写真になっちゃいますので気を付けて。基本は「N」でいいと思います。
絞りは曇りマーク(f10.8)と晴れマーク(f16)の二つ。感度400のフィルムを入れた時を推奨されています。感度400のフィルムで日中に外で撮るなら晴れマーク。曇っているときや少し影にいった時、感度200や100のフィルムを入れた時は、曇りマークで撮りましょう。
以下の感度別の写真も参考にしてみてください。
■ Lomography Color Negative 100(曇りマークで撮影)
また、僕がこのカメラと一番相性いいなと思うのが、富士PROVIA400Xのクロスプロセス。いい、というかもう抜群です。問題はフィルムが高価なこと。でも僕はいい写真が撮れるならそれくらい惜しみません。いや、少しくらいは惜しむかな(笑)。
構図も大事ですが、同じくらいフィルム選びも大切。このカメラはネガで撮るよりも、クロスプロセスの方がいいですね。やっぱり相性ってあります。被写体に対するフィルムだけでなく、カメラに対するフィルムの相性もあります。このカメラはむしろ後者が強いかなと。リバーサルフィルムで撮ってクロスプロセス現像しちゃいましょう。
■ Lomography X-Pro Chrome 100(クロスプロセス現像)
■ KONICA MINOLTA SINBI200(クロスプロセス現像)
■ Rollei Digibase CR200 Pro(クロスプロセス現像)
さて、そろそろクロスプロセスってなんやねん!って言われそうなので、次回のコラムはクロスプロセスについて書いていこうかなと思います。簡単に言うと「リバーサルフィルムをネガ現像すること」なんですが、言葉だけは知っていても理屈を知らない人がほとんどですからね。
フィルムの入れ方もホライゾンに比べると簡単。まずは左右の金具のフック部分を持ち上げて裏蓋を外します。
REWIND(巻き戻し)ノブを上に引き上げてからフィルムを入れます(フィルムは頭のでっぱりが下にくるように)。入ったらREWINDノブを押し戻します。スプールの隙間にフィルムを入れたら空回りしないようにWIND(巻き送り)をまわします。ちゃんと巻き送られていることを確認したら裏蓋を閉めます。後はカメラ上部に白い丸が出てくるまでフィルムを巻き送りましょう。撮影後はまた白い丸が見えるまで巻き送ります。36枚撮りフィルムで19枚くらいは撮れます。
とりあえず、撮ったら巻き送る癖をつけておきましょう。このカメラは珍しくフィルムを巻き戻すことも出来ます。たとえば観覧車を撮って巻き送った後に、花と多重したいって思ったら、観覧車を撮った位置に巻き戻すことも出来ます。基本は撮ったら巻き送って。それと、注意点というほどでもないのですが、撮影時にはレンズのカバーは外して下さいね(笑)。
最後に私事も。こっちも読んで頂けたら嬉しいです。
立川の国営昭和記念公園にて開催中、「サマーイルミネーションガーデン」にコンテンツ提供致しました。ドームスクリーンイルミネーションに、夏の写真を投影しています(プロジェクトユニット「夢観覧舎」にて)。9月2日までライトアップされていますのでぜひ!
■ 国営昭和記念公園
http://www.showakinenpark.go.jp/
東京ドームSPA LaQua(スパラクーア)5階、ヴィーナスラウンジ内にて「心の観覧車〜夢編」を上映しています。15分のスライドショーです。
■ 東京ドームSPA LaQua
http://www.laqua.jp/spa
デザインフェスタギャラリーWESTにて開催「ARTALK3」に参加します。トイラボ&nocosブースにて雨樹一期個展開催。9/29〜30日です。
■ ARTALK3
http://artalk.jp/
NEW OSAKA HOTEL心斎橋さんを丸ごと借り切って開催される、日本初のイベント「ボダイジュエキスポ」に参加します。開催は11/24〜25日。絵画やイラスト、クラフトや立体作品、とにかく前線で活躍されている「人を呼べるアーティストさん」が100組参加されるので、相当面白いイベントになると思います。ぜひぜひぜひ。
■ BODAIJU EXPO|ボダイジュエキスポ2012
http://expo.bodaiju-cafe.com/
詳細についてはオフィシャルサイトやブログにて。
■ プロ・トイカメラマン雨樹一期オフィシャルサイト
http://www.amaki15.com/
■ トイカメラ日和
http://amaki15.blog90.fc2.com/
■ 猫レシピ
http://cat.amaki15.com
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※Lomography Sprocket Rocket ご購入の参考サイト
■「ロモグラフィーオンラインショップ」
http://japan.shop.lomography.com/cameras/sprocket-rocket-cameras