雨樹一期のトイカメラの教科書 第42回「トイカメラの上達方法〜その1」

こんにちばんは、雨樹一期です。「トイカメラの教科書」では、カメラ別、フィルム別の特徴や色んなテクニックを伝えてきましたが、ここで原点を振り返りたいと思います。教科書らしく、どうすれば上達するかを書いていきます。
トイカメラにはたくさん種類があります。「簡単に雰囲気のある写真が撮れる」とよく紹介されていますが、使ってみると意外と難しいもの。
その理由は、カメラにそれぞれ癖があるからなのですが、その前に共通して言えることがあります。それは、オートフォーカスではないこと。自分でピントを合わせる必要があります。しかも目測です。ファインダーを覗いても、ピントが合っているか確認が出来ません。そして撮ってみるとボケボケ写真のオンパレード。それが味になることもあるのですが、そればかりじゃ困りますよね。

ということでトイカメラの上達方法0その1は、『ピントを合わせる』です。多くのトイカメラのピントは4段階。たとえば、「LOMO LC-A」だと、上から0.8m・1.5m・3m・∞(無限大)。一番上の0.8mというのが最短撮影距離です。「HOLGA」は説明書には1mと記載されていますが、LC-Aと同じく0.8mでもピントが合います。ピント合わせが人のマークで距離は書いていませんが、この曖昧さがトイカメラですね。でもトイカメラって、ピントが合うと意外とクッキリ撮れるんです。
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0.8mよりも近くにピントを合わせることが出来るトイカメラは、ほぼありません。例外でいえば、「LC-Wide」が0.4mです。一番安値の「Vivitar Ultra Wide&Slim」は1.2mと少し遠くなります。でも、初心者の方はそれよりも近付いて撮ってしまうことがあります。ファインダーを覗きながらどんどん近付いていってカシャ。当然ボケちゃいますよね。
なので、まずはここを極めることが上達への近道です。
0.8m、つまり80cmですね。これが思っているよりも遠いです。家にメジャーがあれば、実際に測ってみて下さい。これをやったことがないのに、『ピントが合わない』と言う方が多いです。距離を知らないから当然の結果です。というのも、実際に測ってみると『こんなに離れなアカンのかー』って思うはず。以下の写真は地べたに置いて測っていますが、カメラを構えて壁から80cmの距離を測ってみましょう。

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メジャーを撮影に持っていくのもいいのですが、さすがにそんな人がいたら怖いですよね(笑)。レーザーで測る距離計も売っていますが、それも大袈裟というか、毎回やるのも面倒くさいです。瞬発力を優先しましょう。
どうすればいいか? その距離を体で覚えましょう。トイカメラはこれを覚えるだけで、ほぼほぼ大丈夫です。他の1.5mや3mはそこまで重要ではありません。僕は1.5mを使うことはありますが、3mはほぼ使っていません。基本は80cmと∞です。
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どうやって覚えるか。たとえば僕だと、カメラを構えて被写体に手を伸ばしてギリギリ届かないくらいの距離が80cmになります。
トイカメラを撮るなら、まずはこれです。実際は70cm〜100cmくらいならピントは合います。80cmぴったりでなくても大丈夫です。
僕は『観覧車+α(花や動物など)』の組み合わせで撮ることが多いのですが、そのαにピントを合わせます。この距離が80cm。本当に、これが出来るだけで撮影の幅がかなり広がります。失敗写真も激減します。
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初心者の方はさきほど書いたように、手を伸ばすなど、体を使ってピントを合わせましょう。慣れて来るとほんとの目測でそれが分かるようになります。
目測で分かるようになれば、ポートレート撮影も出来るようになります。さすがにピントを合わせたいからといって、人に向かって手を伸ばせないですからね(笑)。
趣味で好き勝手に撮るのならボケていてもいいのですが、頼まれて撮ることがあると、ボケ写真ばかりじゃ困りますよね。相手はトイカメラのピント合わせが目測なことやその難しさを知りません。いつか撮ることがあるかもしれませんから、しっかりと極めておきましょう。
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ちなみにLC-Aは0.8と1.5の間でもピントを合わせることが可能です。まずは80cm、そこでピント合わせが出来るようになってきたら、距離を伸ばしていきましょう。

□トイカメラの上達方法
その1「最短撮影距離にピントを合わせる」
適当にいろいろ撮っていくのではなく、ピントが合う一番近い距離(LC-Aだと80cm)を体で覚えましょう。


最後に私事ですが、大阪でトイカメラ教室を開講予定です。初級編として、月に2回で半年間。計12回。最後には展示をいたします。現在、最終調整中です。
また一日ワークショップも開催予定です。それは福岡でやりたいなーと。
もろもろの詳細はブログ(http://amaki15.com/blog/)にて。

 


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雨樹 一期(あまき いちご)
1977年生まれ。大阪出身のプロ・トイカメラマン。観覧車写真家。トイカメラならではの色彩と、淡く鮮明な表現を自在に操り、写真を通してどこか懐かしくポエティックな視覚世界を表現する写真作家。東京ドーム『SPA LaQua』にて環境映像作品「心の観覧車」の上映。WEBや雑誌にてトイカメラコラムの連載。携帯のきせかえツール、スマートフォンのきせかえカレンダーへのコンテンツ提供。電子書籍の出版。東京、大阪、パリで写真展の開催。トイカメラ講師など、幅広い活動を展開中。書籍に「しあわせの観覧車」「一期一会」など。

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