雨樹一期のトイカメラの教科書 第25回 「Lomography Belair X 6-12」


 こんにちは雨樹です。展示が続いてバタバタしていたらすっかりお久しぶりのコラムになりました。前回のコラムを書いている時はまだ暑かったのですが、すっかり冬ですね〜。こんな寒い日は家で猫とコタツに入ってお鍋して焼酎飲んで、みかん食べて珈琲飲んでごろ寝ですね。いや、そんなことを言わずに写真も撮りにいかなくちゃ。でももうすぐお正月。とりあえず仕事は一旦ストップして、お正月くらいはゆっくり過ごそうかと思っています。
 さて、今回のコラムはカメラ縛りでいきます。書く前から書くの大変だなって感じていて、でもあまり需要のないカメラというか、なかなか書く気にならないというか、なにより単純に数えるほどしか使ってない為、今更のコラムになりました。
 昨年ロモグラフィーから発売された「Belair X 6-12」です。読み方すら分かりません(ベルエアだそうです)。発売当初は話題になっていたし、他の方のブログでもちらほらと見ました。でも今はあまり見かけないですね。


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フィルムの装着など、撮影までの手順は最後に説明するとして、まずはこのカメラについて。ベルエアはブローニフィルムを使う中判カメラです。露出がオートで蛇腹を伸ばして撮影という今時ではないカメラ。レトロというかアナログな感覚がステキ。しかもパノラマ撮影も出来るということで、これは買いだと思いました。
 ま、そうはいっても使ってみるとマイナス点もありました。それは後で書くとして、まずは利点から。
 それは色んなサイズで撮影出来ることですね。真四角(6×6)、長方形(6×9)、パノラマ(6×12)。こりゃ面白い。パノラマだと6枚しか撮れないのでコスパは低いですが(笑)。購入時に90mmと58mmの二種類のレンズが付属されています。

● 真四角(6×6)
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● 長方形(6×9)
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● パノラマ(6×12)
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 1つのカメラでこれだけいろんなサイズで撮れるカメラってなかったですよね。でも撮ってみると、これがなかなか難しいんです。
 まず購入者の頭を悩ませたのはシャッターの位置。レンズ部分にあるんですが、蛇腹伸ばしたらこれが遠いんですね。女性だと指がピーン。それをなんとかガチャっと下に降ろすわけで。蛇腹部分も多少グラつきますから、当然ブレますよね。
 本体ではなく、蛇腹を伸ばしたレンズの下に手を添えて親指でシャッターを切るなど、何かしらの工夫が必要かもしれません。
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 絞りはf8、f16の二種類。どちらもシャッターを押した時に開く窓が小さいわけですから、光を取り込むのに時間がかかる(シャッタースピードも落ちる)ので、さらに手ぶれの可能性も出てきます。普段LC-Aを使っている方だと、オート露出いうことで同じ感覚で撮っちゃいがちですよね。
 でもその肝心のオート露出もそこまで安定性がなく(LC−Aの方が安定している)。夜に撮った写真はアンダーだったりします。逆に昼にリバーサルフィルムで撮った写真は全部オーバーで何が撮れたかも分からなかったり。
 バルブモードはあるので夜景などは調整出来ますが、全体的にしっかりした写真が撮れるとかではなく、描写からしてもかなりトイカメラよりですね。
 とりあえず露出オートではあるけど、他のトイカメラ(HOLGAやDiana+など)と同じくリバーサルフィルムでの撮影は厳しいなといった感じです。またDiana+のコラムでも説明したのですが巻太りもしやすいです。フィルム装着時にしっかりと遮光紙を押さえながら2〜3周巻き送った方がいいですね。

● よくある失敗写真
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 そんなこんなでなかなか個性的で癖のあるカメラ。めちゃいいですよーとオススメこそしないですが、これをメインカメラとして撮っている方とかいたら僕は惚れてしまいます。こういうカメラを使いこなせたら格好いいだろうな。逆に言うと初心者には難度の高いカメラですね。やはりLC-Aを買った方がいいかと思います。これを使っていたら二眼レフよりさらに、おっちゃんカメラマンに話しかけられます(笑)。
 レンズはプラスティックのみで発売されましたが、いまはガラスレンズも発売されています(90mmと114mmの2種)。ガラスの方がクリアーな描写でピントもくっきりかなといった感じ。また、35mmフィルムを使えるアクセサリーも販売されているので、ほんと色々と幅広く使えそうなカメラではありますね。サブカメラというより、メインにしたいカメラ。僕はすでにメインカメラもサブカメラも充実しているので、Diana+と同じく出番が少ないんですけどね。

 

 ● ということでザックリですが、撮影までの流れです。
 

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右上にある巻き送りレバーを上にあげて(赤色の矢印)、空のスプールを入れる。
左にフィルムを入れて紙(遮光紙)を引っ張りだして、右のスプールの溝にかける。
巻き送りレバーを半時回りに回して、フィルムが巻き付くのを確認したら裏蓋を締める。


6×6,6×9フレーム装着時は数字の1が出るまで巻き送る(以降、2,3,4,5,6…と巻き送る)。
6×12フレーム装着時は数字の2が出るまで巻き送る(以降、4,6,8,10,12と巻き送る)。

*  巻き送らずに撮影することで多重露光も可能

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電池はLR44(1.5V)が2個必要。(装填は蛇腹を出す前でも可)
プラスとマイナスをまちがなないように装填。

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蛇腹上面と底面にある収納ロックを2つとも押し込みながら、折り畳む。蛇腹の皮の部分に穴が空かないように注意しましょう。穴が空いてると感光してしまいます。

撮影までの流れは以上です。
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【撮影時の注意点】
 撮影するときは蛇腹を出して下さいね。意外と忘れがちです。そのまま撮ると全部ボケちゃいます。
 次に絞りを「8」か「16」に設定します。感度400以上のフィルムで、晴天の野外で撮影する時は「16」に設定しましょう。「8」で撮ると明るくなりすぎる可能性があります。
 最後に被写体までの距離を目測で合わせて、手ぶれに注意しながら撮影です。

* 上記の写真のレンズはガラスレンズになります。

そしてトイラボさんで現像後、スキャニングされたブレブレ写真に凹みましょう(笑)。慣れてくるとブレなくなってきますよ。


[スペック]
■ 露出:オート
■ シャッタースピード:1/125〜B
■ 感度設定:50〜1600
■ 画面サイズ::104 x 52mm (6×12), 78 x 52mm (6×9), 52mm x 52mm (6×6)
■ ピント:1〜∞ (目測)
■ 絞り:f/8,F16

※参考サイト Lomography
http://shop.lomography.com/jp/cameras/belair-cameras


 さて、私事のコーナーですね。次の個展は今のところまだまだ白紙状態ではありますが、恐らく春くらいに、少し南の方で開催出来ればと思っています。他にもどこかで個展はやっていくかと思います。お近くの方はぜひ生の写真を見に来て下さいね。
 また、来年一月中にネットショップをオープンして、フォトカードや写真集やオリジナルグッズの販売をしようと思っています。
またもろもろと決まりましたら、ここやサイトにてお知らせします。

 このコラムが今年最後となります。まだまだトイカメラの、フィルムの、写真の魅力についてお伝えしたいことはたくさんありますので、来年も引き続き書かせて頂きたいと思っています。まずは今年一年ありがとうございました。では、よいお年を。


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雨樹 一期(あまき いちご)
1977年生まれ。大阪出身のプロ・トイカメラマン。観覧車写真家。トイカメラならではの色彩と、淡く鮮明な表現を自在に操り、写真を通してどこか懐かしくポエティックな視覚世界を表現する写真作家。東京ドーム『SPA LaQua』にて環境映像作品「心の観覧車」の上映。WEBや雑誌にてトイカメラコラムの連載。携帯のきせかえツール、スマートフォンのきせかえカレンダーへのコンテンツ提供。電子書籍の出版。東京、大阪、パリで写真展の開催。トイカメラ講師など、幅広い活動を展開中。書籍に「しあわせの観覧車」「一期一会」など。

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