雨樹一期のトイカメラの教科書 第22回「Diana +」

こんにちばんは、雨樹一期(あまきいちご)です。今回はオーソドックスに機種別のコラム。僕があまり使わない苦手のダイアナちゃんでいってみます。Diana +はブローニ使用のものと、35mm使用のDiana miniがあります。今回はブローニ使用の元祖Diana F+のコラムです。ミニをお持ちの方も多いかと思いますが、いかんせんコラムに出来るほど僕が撮ってないので、それはまたいつか。

さて、苦手というよりも描写がそこまで好みではないという感じですかね。トイカメラらしさがあり過ぎるというのかな。それがどうも自分にハマらない。肩書きはプロトイカメラマンだのにそんなこと言っちゃっていいのかなって気もしますが。ま、トイカメラの雰囲気って人それぞれにあると思うので、そこらへんはあまり気にせず活動しています。一応、お気に入りの写真も数枚ならありますね。えらく昔の写真ですが。


ダイアナのいいところは、なんといってもまずは見た目(笑)。レトロでPOPで可愛いです。ボディーの配色パターンもたくさんあって、思わず集めてしまいそうになります。もちろんそれだけではないですが、“トイカメラをやろうと思ったもののどれを買えばいいか分からなくて、とりあえず外観で購入してみた”って方は多いんじゃないかなーと。そして以下みたいなボンヤリした写りにゲンナリした方もいるんじゃないかなーと。


やはりレンズがプラスチックなのでぼんやり感は否めません。でも、ただのボケ味ではなくって独特の雰囲気はありますよね。四隅の周辺光量落ちもいい感じです。よく言えばドリーミー。そこを含めて楽しむカメラですね。




ぼんやりの理由はプラスチックレンズであることだけではなく、他のトイカメラよりもシャッタースピードが遅いことが原因です。1/60秒なので手持ちだとブレやすいです。しかもシャッターがレンズ部分に付いています。そこを上から押す訳ですから。そりゃブレますよね。三脚を使えば手振れも軽減出来ますが、やっぱり大袈裟ですもんね(笑)。
後はよくあるミスだと、撮影モードがBになってます。これはバルブモードでシャッターを押し込んでる間、シャッター窓も開きっぱなしになります。手持ちだと確実にブレます。もちろん光を入れ過ぎですから、明るい写真になっちゃいますよね。

基本はNに合わせたままでいいと思います。ただ、室内や夜にNで撮ると光量が足りなくて真っ暗になっちゃうので、Bに合わせて撮りましょう。この時は三脚を使うか、地べたや手すりに置くなど、ちゃんとカメラを固定出来るように工夫しましょう。

 

● Nモードでの撮影

● Bモードでの撮影


◆ フィルムのセット方法
裏蓋を外し空のスプール(巻き取り軸)を右にセット。左にフィルムを入れて遮光紙を引っ張り出して、空のスプールに引っ掛ける。少し巻き送って裏蓋を閉めましょう。フィルムの装着〜撮影までは第三回や第六回のコラムも参考にして下さい。

ダイアナは巻き太りすることが多く(わざとそういう作り?)、感光することがあります。装着する際にしっかり巻いておけば軽減出来ますが、どうせならこの偶然の光漏れの効果を楽しんじゃいましょう。光漏れといっても全部が台無しになることはないので。
以下の写真、太陽の塔の左上などに見えてる数字は遮光紙に書かれている数字です、感光されてフィルムにまで写っちゃったんですよね。こういうのはダイアナの面白い効果ですね。

◆ 巻き太りになったフィルムはスプールの枠からフィルムがはみ出してしまうので、そこから感光する可能性が高いです。


フィルムを装着したらお天気マーク(絞り)、距離を合わせて撮影です。このお天気マークは感度400のフィルムを基準とされています。曇りマーク、晴れマーク、快晴マーク、Pとあるので、状況に合わせて撮影しましょう。

Pとはピンホール撮影です。針ほどの穴になるので、Bモードで長時間露光で撮影しましょう。レンズを外せば広角ピンホール撮影が出来ます。


ダイアナはアクセサリーも充実しています。広角レンズやクローズアップレンズに交換すること。35mmフィルムでの撮影も可能です。


巻き送りを半分ほど送っては撮影して、効果的な多重写真も出来ます。

 

こうやって振り返ると写りも悪くない。面白いカメラだなーって思います。描写が好きな人はハマりますよね。ただ僕のダイアナちゃんは色んなレバーがゆるゆるになっていて、鞄の中でお天気マークが勝手に変わっていたり、撮影モードが「B」になっていたり、フィルムが勝手に少し巻き送られていたりで、もう撮り終えた写真は無茶苦茶です。その都度ちゃんと調整したらええやんって話なんですけどねー。瞬発力のなさが面倒くさくなっちゃって、結局あまし撮らないんですよね。Lubitelみたいにしっかり写るカメラだと、しっかり調整して撮るんですが。

これを機にもう少しチャレンジしていこうかな。なんてことを三年くらい言ってる気がします(笑)。


[スペック]
■ 重さ:150g(本体)
■ ピント:1〜2m、2〜4m、4m〜∞
■ シャッタースピード:N(1/60)・B
■ 絞り:f/3.5(曇り)、f/5.6(晴れ)、f/8(快晴)、ピンホール撮影(P)

Lomography Diana F+
http://shop.lomography.com/jp/cameras/diana-f-family


さて、いつもの私事のコーナーですがまだお知らせすることがなく。というよりも、ちゃんとお知らせ出来ない状態です。9月末〜10月に東京でプチ展示やワークショップの予定をしていますが、また詳細はブログや次のコラムにて。

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雨樹 一期(あまき いちご)
1977年生まれ。大阪出身のプロ・トイカメラマン。観覧車写真家。トイカメラならではの色彩と、淡く鮮明な表現を自在に操り、写真を通してどこか懐かしくポエティックな視覚世界を表現する写真作家。東京ドーム『SPA LaQua』にて環境映像作品「心の観覧車」の上映。WEBや雑誌にてトイカメラコラムの連載。携帯のきせかえツール、スマートフォンのきせかえカレンダーへのコンテンツ提供。電子書籍の出版。東京、大阪、パリで写真展の開催。トイカメラ講師など、幅広い活動を展開中。書籍に「しあわせの観覧車」「一期一会」など。

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