雨樹一期のトイカメラの教科書 第3回 フィルムの「いろは」


 今回のコラムは前回のLOMO LC-Aの説明書より、もっと基本のお話です。「そもそもフィルムって?」という、はじめの一歩的なコラム。これまでデジタルしか使ったことない方はあまり知らないみたいなんですが、フィルムには種類もサイズもあるんですね。
種類にはモノクロやネガやポジがあります。サイズでは、LOMO LC-Aなら35mmフィルムを使い、ホルガだとブローニフィルムを使います。トイカメラをはじめる時に、ここでつまずくこともあるので、しっかり基本から学んでいくのがいいかなと思います。
 メカニズムについて書くとややこしくなっちゃうのですが、フィルムに光を当てて化学反応させて、その像を見れるようにする為に現像液につけてまた化学反応させて余分な銀を取り除いて、、、って僕も詳細は本を読まないと分かりません。ってことで、「撮影には光が必要」ってことだけ知っていればいいので(笑)、ややこしい話はとばしちゃいましょう。


『種類』

モノクロフィルムとカラーフィルムに分かれます。たいていの方はカラーを使われるので、今回はそのカラーフィルムについて書かせて頂きます。カラーフィルムの中にはネガとポジがあります。同じカラーフィルムといえどこれは全く別物なんですよね。カレーライスとハヤシライスくらい違います。いや、もっと違いますね(笑)。

■ ネガフィルム

一般的に使われているのがこのカラーネガフィルムです(以下、「ネガ」)。ネガとはネガティブの略で、現像すると色や明暗が反転されて写されます。プリントするときにそれをまた反転します。なのでネガを見てもどんな写真かイメージはわきにくいかもしれません。ネガは使い捨てカメラにも使われているので、デジカメ世代の方でも見たことくらいはあるかなと思います。

これを反転すると以下の写真になります。ネガで暗くなっている部分が、白い雲の部分というように、明暗が逆転しているのが分かるかと思います。


ネガの特徴としては、描写が柔らかいです。また、プリントする時やデータにする際に色の補正をしたり明るさの調整をすることが容易です。ラチチュードが広いので露出が違ってもカバーしてくれます。ラチチュードだなんて、舌の噛みそうな専門用語が出てくると分かりにくいですよね(笑)。簡単に言うと、少し明るく撮ってしまっても暗く撮ってしまっても、後から調整が出来るということ。失敗をカバーしてくれるので初心者向けのフィルムともいえますね。

■ ポジフィルム

ポジとはポジティブの略。これはネガとは反対に、現像すると見たままの画像に仕上がるフィルムです。スライドフィルムやリバーサルフィルムとも言います。一般的にはリバーサルと呼ばれています(以下、「リバーサル」)。

当然のことながら、写真にすると以下になります。


ネガと比べるとリバーサルの描写は硬めですが、圧倒的に高画質です。色が鮮やかでシャープ。青空や夕暮れなんかを撮ると驚きの発色をします。現像後のフィルムで画像の確認も出来るので、ネガのようにプリントしなくてもどんな写真か分かります。写真をやるのなら一度は使って頂きたいフィルムです。
とはいえ利点ばかりでもありません。フィルムの価格や現像料金、プリント代も少し高くなるし、なにより難しいです。先ほども書きましたラチチュード。これが狭いんです。つまりネガとは逆に、明暗の少しのズレが致命的になっちゃうんです。フィルム自体が完成品なので、そこからの補正なども限られてしまいます。真っ暗になっちゃったり、明るすぎて像がなくなったり。失敗をカバーしてくれない上級者向けのフィルムですね。
プロやハイアマチュアの方は好んで使われていますが、実は病理解剖や発掘現場などでもリバーサルが使われていたりします。デジタルにどんどん切り替わってはいますが、リバーサルフィルムは合成や加工が出来ないことが利点でもあるんですね。嘘の付けないフィルムでもあります。
話が脱線しましたが、失敗出来ないということもあり、トイカメラには不向きなフィルムです(笑)。露出(光の量)を自動で調整してくるLOMO LC-Aや自分で調整出来るHorizon Perfektなら大丈夫ですが、ホルガやダイアナみたいな大雑把な露出じゃ、明るすぎたり真っ暗な写真が出来あがってしまいます。


『フィルムのサイズ』

さて、フィルムにはサイズがあります。種類でも説明した、パーフォレーション(フィルムの上下の穴)のあるフィルムが一般的に使われている35mmフィルムになります。LOMO LC-AやNATURA、Horizon Perfektやスプロケットロケットはこちらを。
そしてそれよりも大きいブローニフィルム。これは中判カメラで使用されます。トイカメラでいうとホルガやダイアナ+になりますね。
そしてもっと大きいシートフィルムがあって、フィルム自体がL版サイズくらいの4×5や、A4サイズくらいの8×10というものもあります。当然カメラ本体も大きくなります。それを扱うトイカメラは今のところありませんね。今後もさすがにシートフィルム専用のトイカメラが販売されることはないと思います。僕でも買わないかな。
35mmよりも一回り小さいサイズでAPSというフィルムが一時期流行りましたね。すぐに衰退したので、いまは見かけることもありませんが。あとは110フィルムというのもありますが、こちらも生産は中止されました。ハリネズミカメラというトイカメラで使用されていますね。
ということで全部書くのも覚えるのも大変なので、いま主流の35mmとブローニについて書かせて頂きます。

まずは外観の違いですね。左が35mm、右がブローニです。
次に現像後の大きさの比較です。同じく左が35mmで右がブローニ。ちなみにどちらもリバーサルですね。ブローニの方はスクエア(真四角)で撮影しています。

■ 35mmフィルム

名前のとおり、フィルムの縦の幅が35mmのフィルムです。馴染みのあるのがこのフィルムです。フィルムの箱に135と表記されているものになります(135やブローニというのはコダック社のカメラやフィルム番号などからの由来)。ネガ、リバーサル共に販売されているフィルムの種類も豊富です。また、24枚撮りと36枚撮りがあります。12枚撮りというのもありましたが、いまはもう見かけないですね。
フィルムはパトローネという入れ物に入っています。撮影が終わると、またそのパトローネにフィルムを巻き戻して現像に出します。

■ ブローニフィルム

ブローニには120フィルムと220フィルムがあります。それぞれ長さが違うのですが、トイカメラでは120しか使えないのでご注意を。ブローニには中心にスプールという巻き取り軸があります。 一般的にはあまり馴染みがないフィルムですが、ホルガ120やダイアナ+を使うのならこのフィルムが必要です。ブローニは60mm幅なので、35mmフィルムよりも少し大きいです。 120は裏紙の付いたロールフィルムで、撮影をするたびに巻き取る側のスプール(巻き取り軸)にフィルムを巻いて行きます。撮影が終わると、そのままフィルムを取り出します。少し文章での説明が難しいので、写真を参照して下さい。
これは説明のために裏蓋をとっていますが、当然撮影の時には右側に巻き取るまで蓋はあけないで下さいね。

見やすくオープンしちゃいます。茶色いのがフィルムですね。裏紙は遮光紙といって、感光を防ぐ役目です。
また、ホルガやダイアナ+で撮影出来るのは、6×4.5の長方形サイズと、6×6のスクエアサイズです。僕はLC-AやNATURAをよく使っていて、それは長方形サイズなので、ホルガを使う時はスクエアで撮影しています。スクエアで12枚撮れます。35mmに比べると撮影枚数も減っちゃいます。
とりあえずこれがフィルムの基本となります。まずは35mmとブローニというフィルムがあることを、そしてその中にネガとリバーサルがあるってことを覚えて下さい。またここから感度の話もしたいところですが、それは次回に。


ではでは最後にそれぞれのサンプルの写真を。

■ 35mm(ネガ)

■ 35mm(リバーサル)

■ ブローニ(ネガ)

■ ブローニ(リバーサル)


最後に私事ですが〜、といつも書かせて頂いておりますが、今のところイベントの予定はありません。年末の個展で力つきました(笑)。その時のレポを載せたのでよろしければ。
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しばらくは写真を撮りつつ、こじんまりと活動していきます。ブログは今年も毎日更新していくので、ぜひ遊びに来て下さいね。

「トイカメラ日和」
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トイカメラとは関係ないし不定期更新ですが、猫のブログもやっています。

「猫レシピ」 http://cat.amaki15.com/

それでは今年もよろしくお願い致します。

雨樹 一期(あまき いちご)
1977年生まれ。大阪出身のプロ・トイカメラマン。観覧車写真家。トイカメラならではの色彩と、淡く鮮明な表現を自在に操り、写真を通してどこか懐かしくポエティックな視覚世界を表現する写真作家。東京ドーム『SPA LaQua』にて環境映像作品「心の観覧車」の上映。WEBや雑誌にてトイカメラコラムの連載。携帯のきせかえツール、スマートフォンのきせかえカレンダーへのコンテンツ提供。電子書籍の出版。東京、大阪、パリで写真展の開催。トイカメラ講師など、幅広い活動を展開中。書籍に「しあわせの観覧車」「一期一会」など。

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