雨樹一期のトイカメラの教科書 第36回「レッドスケールフィルムの制作方法」
こんにちばんは、雨樹一期です。すっかり冬ですね。撮影で外出どころか、布団から出ることすら億劫な季節です。なんだか少し前の連載でも「寒いの嫌だ」って言っていた気がします。時間経つのが早過ぎて、一年前くらいはもう最近の感覚なんですかね。
さて、今回は自作フィルムについて書きます。自作といっても、当然から作るわけじゃないです。これまでの連載でも何度か紹介しましたが、かつてロモグラフィーで販売されていた、「Red Scale」を自作します。
このように特殊な発色をするのですが、フィルムに特別な着色などの加工はされていません。実はフィルムの裏表が逆になっているだけです。通常は表に光が当たり、像が出来るのに対して、レッドスケールは裏に光が当たることになります。
フィルムの構造のメカニズムは詳しくは分からないですけど、いくつかの層があって、裏側には光を吸収する層があるので、マゼンダになる層までしか光が届かない、みたいなことなのかなぁと。カメラで日付を入れると、赤色に印字されますが、それは裏側から光を当てているんですね、たぶん。かなり曖昧ですいません。
とにかく、このフィルムで撮るとオレンジ〜赤色の発色をします。明るく撮るとオレンジに、暗く撮ると真っ赤になります。
使用頻度は多くはありませんが、ノスタルジーな雰囲気がたまりません。レトロな商店街や色の少ない日(天気の悪い時や冬場など)に使うといいですね!
僕の中ではスーパーサブみたいな扱い。絶対使うとは限らないけど、いないと困るフィルムです。
さて、それでは自作してみましょう。
用意するのは、フィルム2本と、セロハンテープ、ハサミ、暗袋(なくても制作可)。
フィルムの1本はレッドスケールの元になるネガフィルムと、もう1本はいらないフィルムです。
タンスの奥に期限の切れたフィルムなどがあればいいのですが、もしなければ諦めてお持ちのフィルムをお使い下さい。
順を追って説明しますが、そのフィルムは全部引っ張り出します。当然、光に当たるのでもう使えません。
でも、毎回2本必要というわけではなく、初めて作る時に必要なだけです。今後また作ることも考えると、1本くらい諦めちゃって下さい。
1.期限切れのフィルムを全て引っ張りだし、3cmほど残してハサミでカットする。
3.カットした部分同士をセロハンテープでしっかりと引っ付ける(写真は分かりやすいようにマスキングテープで接着)
この時注意するのは、裏表が逆になるように、フィルムの色の濃い方と薄い方を接着する。
フィルムが巻き取られているのを確認したら(テープが見えなくなるくらいまで)、暗袋に入れて残りを全て巻き取る。
暗袋がなければ、部屋を暗くして布団の中などで巻き取ります。月明かり程度でも、光カブリを起こすので、とにかく真っ暗の中で、手が吊りそうになるのを堪えて、抵抗がかかるまで巻き取りましょう。
これで、元になるフィルムが、期限切れのフィルムに巻き取られた状態になります。
5.暗袋から出し、元になるフィルムの根元を3cmほど残してハサミでカットする。
6.フィルムをカメラに装着出来るように、ベロを作る。形は適当で可。
撮影したフィルムは、一般の現像所では処理してくれないことがあるので、トイラボさんに送りましょう。その際、注文の備考欄に自作したフィルムということを書いて、フィルムのパトローネには「レッドスケール」など、書いておきましょう。ネガフィルムで制作するので注文の際もネガ現像になります。
また、僕のネットショップ(http://amaki15shop.biz/)で「nostalgie red」という名称で自作したものを販売しています。こちらはパトローネにオリジナルのシールを貼り付けています。制作が難しい、面倒くさいって方はぜひお買い求め下さい。トイラボさんでの注文時にはフィルムのメーカー名で「雨樹一期」を選択して下さい。
自作レッドスケールは、元になるフィルムによって若干ですが色味も異なります。
また、ネガではなくリバーサルフィルムでも同様の効果が得られます。クロスプロセスすると、少しですが違った色味にもなります。どれも赤やオレンジがベースではありますが、実験してみるのも面白いですよ。フィルム別の色味の違いは、また次回のコラムでご紹介致します。
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