雨樹一期のトイカメラの教科書 第23回「トイカメラの選び方」


こんにちは、雨樹一期です。暑い日が続いていますね。写真を撮りにいくのが億劫になる季節かもしれないですが、僕にとっては身体のキレが一番いいのが夏だったりします。入道雲を見ているだけでワクワクします。
さて、僕はプロトイカメラマンという肩書きで活動していますが、トイカメラばかり使っているわけではなく、しかも厳密にはトイカメラではないLC-Aがメインです。でもLC-Aはトイカメラと思って購入したし、日本ではトイカメラとして購入する方がほとんどだと思います(トイカメラは日本でしか使われていない言葉なので当たり前ですが)。
とまぁ、そんなことはどうでもいいんですが、トイカメラに関しては前回までの記事を参考にしてもらいつつ。今日は僕のオススメカメラのご紹介です。あくまで僕が持っているオススメのカメラなので、出てこないトイカメラがあってもあしからず。
これまでに機種別でコラムをいくつか書いてきたけど、「結局どれがいいん?」という質問が多いので一度書いておこうかなと思った次第です。トイカメラをはじめたいけど、どれを買えばいいの?と。まずそこで悩む方が多いですからね。トイカメラ機能のあるアプリからフィルムに流れてきた方はだいたいそんな感じかなぁと。
で、まずはどこまで本気かってとこですね。少し本格的にやりたいのなら、断然断トツでLOMO LC-A+です。新品で買うと3万円前後です。そこまでお金はかけたくないけど、ちょっとやってみたい方ならVivitar Ultra Wide&Slimです。価格は3,780円。安いですねー。でも写りは悪くありません。LC-Aと描写も似ています。Viviterの方が絵画っぽいかな。22mmという超広角レンズで、トンネル効果などのトイカメラらしさもあります。同じ場所でLC-A+よりいい写真撮れることもあります。

◆ Vivitar Ultra Wide&Slimで撮影



◆ LOMO LC-A+で撮影


一見どっちがどっちか分かりませんよね。実はViviterで三年ぶりくらいに撮ってみたんですが、なんかいい感じだったんですよね。「ほならViviterでええやん」と思いますよね。ただそこは安いだけの理由があります。LC-A+は露出がオートなのに対して、Viviterはシャッタースピードと絞りが固定なんですね。
写真って(フィルムの感度によって)必要な光の量が決まっています。ちゃんとした写真を撮る為には適正に近い光量じゃないといけません。たとえば暗い場所だと光が少ないので、光を取り込むのに多くの時間が必要です。この時間がシャッタースピードです。この時、光を取り込む為の穴が大きいと時間も少なくなりますね。この穴の大きさが絞りです。
ざっくりとした説明になりますが、Viviterはどれだけ明るい場所だろうと、室内だろうと、夜景だろうと、そんなの関係ありません。同じ穴の大きさで同じ時間。「あたしは誰にも合わせない。あたしはあたし。ブレないのよ、ぷいっ」ってな感じです。
たとえばそうですねー、わかりやすく言うと、Viviterは近くにいる人だろうと遠くの人だろうと同じ声の大きさで呼びかけるようなもんです。遠くの人には全く聞こえません。近くの人には「やかましいわっ!」って突っ込まれます。それがViviterって奴。でもLC-A+はだいたいええ感じの声の音量に調整してくれます。電池ないと動きませんが、賢い子です。んー、ちょっとたとえが無茶苦茶ですが(笑)。
とにかくViviterはそういうことから撮影出来るシーンが限られます。その為に価格も安いんですね。外観にもあまり可愛さはなく(笑)、シャッターを押した感触もなんか軽い。本体も軽い。まさにザ•トイカメラです。その点、LC-A+はどんなシーンでも撮影出来るし、外観も可愛い、適度な重量感もあって、シャッターを押した感触もいい、多重露光も可能です。
他の違いは、Viviterはただシャッターを押すだけなのに対して、LC-A+は距離を自分で決めなくちゃいけません。目測なのではじめはピントを合わせることが難しいかもしれません。でもボケたことで逆にいい雰囲気が出ることもあるので、気にせず撮っていけばいいですね。
ただ、そんなボケたりしないでもうちょっとしっかり撮りたいなって方もいるかもしれませんよね。そんな方には富士フィルムのNATURA CLASSICAがオススメです。シャッタースピードも絞りもピントも全て合わせてくれます。それもしっかりと確実に。フィルムも自動で巻き送ってくれるし、撮り終わったら巻き取ってくれる。おまけに少しだけズームも出来ます。トイカメラみたいに周辺光量落ちはありませんが、フィルムの柔らかさなどはあるので、初心者には一番いいカメラかなと思います。価格はLC-A+と同じくらいです。

◆ NATURA CLASSICAで撮影


いやいや、もっと個性的なカメラが欲しいんだって方には、SPROCKET ROCKETがオススメです。広角でパノラマ、おまけにフィルムの穴にまで絵が写るという、遊び心の詰まったカメラです。価格は6,800円ほど。距離は目測になりますが、「0.6〜1m」と「1m〜∞」の二種類なのでザックリ合わせればオッケー。絞りは「晴れマーク」と「曇りマーク」。シャッタースピードは固定(N)ですが、バルブ撮影(B)が出来るので夜の撮影も可能です。バルブ撮影についてはこれまでに何度も書いていますが、シャッターを押し込んでいる間シャッター窓が開きっぱなしになります。
描写は周辺になるにつれてピントは甘く、光量も落ちます。でも中心のピントは意外としっかりと合います。価格の割にとてもいいカメラだなって思います。ただ、メインの一台というよりサブで持っていたいカメラですね。


◆ SPROCKET ROCKETで撮影



「ちゃうねん、もっとちゃんとしたパノラマ写真が撮りたいねん」って方にはHORIZON
PERFECT。絞り、シャッタースピードは自分で調整しなくちゃいけないので初心者には難易度が高くなりますが、個性的で圧倒的な描写です。ファインダーで空や海や花畑を見てしまうと確実に欲しくなります。果てしなく広がっていくような開放感があって、これまで見てきた日常の世界が一変します。覗いているだけで心地良いです。ただ、価格がさらにどんとあがって4万5千円。ゼンマイ式なので電池はいりません。

◆ HORIZON PERFECTで撮影



ここまでは35mm使用のカメラ。使い捨てカメラなどにも使われている一般的なフィルムです。フィルムの箱には「135フィルム」と書かれています。とりあえず初めの一台なら35mm使用のカメラがいいかなと思います。でも中判カメラに使われている、ブローニ(箱には「120フィルム」と書かれています)使用のカメラも出来れば使ってみて欲しい。てことで、次はブローニ使用カメラのオススメを。

まずはLC−Aと並んでトイカメラの王道的存在のHOLGAですね。購入された方もきっと多いはず。でもそのまま使ってない方も多いはず。その理由は難しいからなんですね。お店で並んでるサンプル写真みたいにはなかなか撮れません。他のカメラに関してもですが、サンプル写真ってそりゃいい写真を使いますからね。おまけに現像方法も変えていたり、お店で上手く補正されていたりですから。中でもホルガは、販売しているお店はLC-Aより多いのに、撮影はLC-Aよりも断然難しいです。難しいから使わなくなってしまう。トイカメラって『誰でも簡単に雰囲気のある写真が撮れる』って紹介されがちですが、案外そうでもないですからね。そういう僕もここで御見せしている写真はお気に入りばかりですけどね。なので「こういう風に撮れますよ」というより、「上手く撮ればこうなるよ」って少し無責任なとこもあります。
そんな初心者だとなかなかいい写真が撮れないホルガを大々的に紹介するのも気が引けますが、うまく撮れた時の写真は他のカメラにない特徴があるので、僕にとっては手放せない一台です。
価格は4,000円〜とお求めやすいです。ちなみに、ホルガにはプラスチックとガラスのレンズがあるのですが、クリアーでピントもシャープなガラスレンズがオススメです。HOLGA120 Gや、HOLGA120GCFNなど、『G』と付いています(『F』はフラッシュ『CF』はカラーフラッシュ)。

 

◆ HOLGAで撮影


最後はしっかりじっくりと時間をかけて撮れ、かつ勉強にもなる二眼レフカメラLubitel166+です。これまでに紹介したカメラなの中では一番『撮った気分』になるカメラです。撮影はフルマニュアル。絞り、シャッタースピード、ピント、全て自分で合わせなくちゃいけません。もちろん慣れるまでは難しいし、ある程度の知識が必須かもしれません。なのでカメラの事を何も知らない方にはオススメはしないですが、ゆくゆく手に入れて欲しいカメラです。同じ二眼ならローライフレックスなどが知られてますが、Lubitelのいい所は軽いこと。首に下げていても肩が凝らないレベル。一度トイカメラにはまるとどんどんとカメラが増えていきます。なので撮影には複数台持って行くことになっちゃうので、軽いカメラってのがとても助かります。
ローライとの描写の違いは分かりませんが、Lubitelもとってもキレイに撮れます。価格は3万5千円。

 

◆ Lubitel166+で撮影



まだまだカメラはたくさん持っているのですがオススメは以上です。必ずしも出てこなかったカメラがダメってことでもありません。迷ってる方にオススメするならってことで選んでみました。
てことでやっぱり一番はLOMO LC-A+ですね。これを持っていたらViviterはさほど使わないかもしれません。でも、LC-Aでクロス、Viviterにはネガなど、フィルムを使い分けるにはいいですね。
LC-A+で問題があるとしたら、初期不良が多いこと(新品だともちろん無償で交換してくれます)。また、プラスチックで出来たカメラじゃなくて機械的なので、若干故障しやすいです。ま、そこは僕がハードに扱ってるというのもありますね。
LC-A+の前の型であるLOMO
LC-Aならヤフオクなどで安く手に入れる方法もあります。多重露光は出来ませんが、僕はLC-Aを使ってる期間の方が長いです。
いきなりHORIZON PERFECTを買っちゃう男らしい方はあましいないと思いますが、ぜひどこかで手に入れて頂きたいカメラですね。
また、Viviterよりも広角に撮れるLC−Wideもいいんですが、一つ目のカメラには相応しくないかなと。Wideの前にLC-A(+)を買う方がいいですね。価格は3万9千円とお高めです。

 

◆ LOMO LC-Wideで撮影



トイでなくてもいいから、とにかくフィルムカメラやりたいのならNATURA
CLASSICAですね。落下とか水没さえなけりゃ故障もしにくいし、初期不良もないです。
他の紹介したカメラはやはり二台目以降がいいのかな。はじめに購入してしまうと、あまり撮らない結果になりがちです。でも、HORIZONやLubitelだと価格が高いから勿体無いってことで撮り続けますね(笑)。
ちなみに僕の購入した順番です(LC−AやLC-A+は故障したら即購入しています)。上記にあげなかったトイカメラも含めて書いておきます。

1、LOMO LC-A
2、NATURA CLASSICA
3、Vivitar Ultra Wide&Slim
4、Diana+
5、HOLGA135
6、Lubitel166+
7、HORIZON PERFECT
8、Diana Mini
9、HOLGA120GCFN
10、SPROCKET ROCKET
11、blackbird,fly
12、LOMO LC-Wide

ついでに、上記のカメラでのお気に入り順。
1、LOMO LC-A(+)
2、Lubitel166+
3、HORIZON PERFECT
4、LOMO LC-Wide
5、SPROCKET ROCKET
6、NATURA CLASSICA
7、HOLGA120GCFN
8、Vivitar Ultra Wide&Slim
9、Diana+
10、Diana Mini
11、blackbird,fly
12、HOLGA135

んー、トイカメラマン改めた方がいいのかも(笑)。
ということで、フィルムカメラをはじめたいけど迷っている方は参考にしてみて下さいね!富士フィルムのKLASSEなんかもいいかもですね。僕は持ってないですけど欲しいカメラです。


さて、私事のコーナー。オススメしてるのかしてないのか分からなくなってきてますが、VivitarUltra Wide&Slimを使ってワークショップを開催します。
9/28(土) 〜 10/20(日)まで開催「アートリンク上野・谷中」でのイベントです。会期中、僕は連日展示も致します。週末にはポストカードやパネル作品などの販売ショップにもなります。期間も長いので展示を入れ替えつつ、トイカメラグループ展も入れる予定です。ワークショップは10/5(土)。ちょっとだけ使い方の説明をして上野〜谷中で撮影会。撮った作品はパネルにして展示致します(10/19〜31予定)。Viviterもレンタルで、現像はトイラボさん。
ワークショップにグループ展と、トイカメラ好きの方にはとても面白いイベントになるだろうと思っています。価格も控えめになるかと思いますのでぜひぜひ。
もろもろの詳細はいま詰めている所ですが決まりましたら、オフィシャルサイトやブログ、TwitterやFacebookなどでも告知していきます。

(art-Link 上野-谷中 2013)
http://artlink.jp.org/index.html


■ プロ・トイカメラマン雨樹一期オフィシャルサイト
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雨樹 一期(あまき いちご)
1977年生まれ。大阪出身のプロ・トイカメラマン。観覧車写真家。トイカメラならではの色彩と、淡く鮮明な表現を自在に操り、写真を通してどこか懐かしくポエティックな視覚世界を表現する写真作家。東京ドーム『SPA LaQua』にて環境映像作品「心の観覧車」の上映。WEBや雑誌にてトイカメラコラムの連載。携帯のきせかえツール、スマートフォンのきせかえカレンダーへのコンテンツ提供。電子書籍の出版。東京、大阪、パリで写真展の開催。トイカメラ講師など、幅広い活動を展開中。書籍に「しあわせの観覧車」「一期一会」など。

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